海外進出する店舗も増え、世界中で人気を博している日本の「うどん」。北から南まで、日本各地には多種多様なご当地うどんが存在しています。同じ「うどん」の仲間でも、麺の太さやダシに使われている食材が違うだけで、まったく違う食べものという印象を受けることも!
そこで今回は、都内で美味しいご当地うどんが食べられるお店を4店舗ご紹介したいと思います。麺とダシの違いに注目してみると、うどんの奥深さに改めて驚かされますよ。
■讃岐うどん:「讃岐うどん大使 東京麺通団」
最初にご紹介するのは、新宿西口から徒歩2~3分に位置する「讃岐うどん大使 東京麺通団」。讃岐うどんは、ご存じ“うどん県”である香川のご当地うどん。昨今のうどんブームの先駆けとなった、言わずと知れたご当地うどんです。
讃岐うどんの特長はずばり、麺の“コシ”と“のどごし”。関東地方でいうところの“コシ”はパスタのアルデンテに近い状態ですが、讃岐うどんでいう“コシ”は少し違っていて、力強く噛めば切れるけど、軽く噛んだときに戻っていく食感のこと。
「かまあげ」「ぶっかけ」「あつかけ」など、さまざまな食べ方で楽しめます。メニューによって麺の茹で方が変わり、麺の食感が驚くほどに変貌するので、ぜひ食べ比べてみてほしいところ!
まずは、水で締めた弾力のある麺が楽しめるメニューから「しょうゆ」を注文してみました。こちらは麺に醤油と薬味をかけただけの素朴なうどん。“コシとのどごしがよくわかる食べ方”とのことで、麺じたいを堪能するのにオススメ。シンプル・イズ・ザ・ベストなメニューのひとつです。
最適な時間に茹でた麺を水で締めることによって麺の表面のぬるつきがなくなるぶん、見た目にもツヤが出て、つるつるしています。食感もまさに“つるつる”そして“モチモチ”。噛むと麺が歯を押し返してきて、心地よい弾力を感じます。麺じたいがさっぱりした味わいなので、いつもより多い量もいけちゃいそう! 醤油の代わりに濃いめのだしをかけた「ぶっかけ」は、香川で最もポピュラーな食べ方だそうです。
水で締めた麺を温めて熱いダシをかけて食べる「あつかけ」(小310円・大410円)も、ぜひ食べ比べてみてほしいメニュー。温められたぶん食感はやわらかいのですが、しっかり歯ごたえを感じます。ダシには、伊吹島でとれるカタクチイワシから作った「いりこ」を使用。なんと店内には、いりこだしが出てくる蛇口が装備されています!
ダシをかけるのはセルフサービスなので、「あつかけ」とは別のメニューを注文しても、ダシを注いで味変を楽しむことができちゃいますよ!
続いて、釜揚げのモチモチした麺を楽しめるメニューから「かまたま」をチョイス。こちらは、アツアツの釜揚げ麺に生卵を絡めた“釜玉うどん”。うどんブームの先駆けとなり、讃岐を世に知らしめた逸品とのことで、根強い人気を誇るメニューです。
ひと口食べたら、モチモチ食感の虜になること間違いなし! 水で締めていないぶん麺の表面がちょっとぬるっとしているので、卵が絡みやすく濃厚な味わいを楽しめます。
茹でたてのアツアツ麺に卵を絡めるので、時間がたつにつれ自然と卵に火が通って固まっていきます。絡まる卵の食感も変化していくので、ぜひ出来立てから味わってみてほしい一品。
こちらは、とくに女性人気が高いという「めんたま」。「かまたま」に明太子とカルピスバターをのせた「東京麺通団」の名物メニューです。
とろけるバターのなめらかな風味と、明太子のプチプチ感、うどんのモチモチ食感のハーモニーはリピートしたくなる美味しさ! トッピングに選んだちくわ天はボリュームある大きさで、香川から取り寄せているので本場の味が堪能できます。
人気のトッピングは、かき揚げ、ちくわ天、玉子天、かしわ天。本場香川ではうどんの上に乗せず別皿にとって、麺と交互に食べたり、好みのタイミングでつゆに浸して食べたりするそう。
うどんのメニューや茹で方による食感の差に加えて、トッピングのバリエーションも豊富! 自分好みの組み合わせで楽しむのも、讃岐うどんを食べる醍醐味のひとつです。
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讃岐うどん大使 東京麺通団
- 住所 東京都新宿区西新宿7-9-15 ダイカンプラザ ビジネス清田ビル1F
- 電話 03-5389-1077
営業時間:[月~金]8:00~23:30(L.O23:00)、[土・日・祝]10:00~23:30(L.O23:00)
麺が無くなり次第終了
定休日:元旦
■博多うどん:「博多うどん酒場イチカバチカ 恵比寿店」
次にご紹介するのは、恵比寿駅のほど近くに店をかまえる「博多うどん酒場イチカバチカ 恵比寿店」。その名の通り福岡県の博多うどんと、博多の地元ならではの呑み方を楽しめるお店です。
博多では、うどんは家で食べるよりもお店に食べに行くことが多く、ラーメン屋の行きつけよりも、うどん屋の行きつけを持っている人が多いそう。お酒を呑みに行った帰りの締めにも、うどんを食べる文化がある模様。
そんな博多うどんの特長といえば、圧倒的な麺のやわらかさ! そのやわらかなフワフワ食感は、麺を二度茹ですることによって生まれています。お馴染みの博多っ子を待たせることなくクイックに料理提供できるようにするため、麺を一度茹でて置いておき、注文が入ったら二度茹でしてあたためてサーブするようになったのだとか。そのぶん麺が水分を含むので、やわらかい食感になるのだそうです。
まずは、博多うどん界の“絶対エース”という「ゴボウ天うどん」に、「のせもの」(トッピング)として、甘辛く煮込まれた「肉」をチョイス。
この組み合わせはお店の名物でもある「肉ゴボ天うどん」(950円)と同じですが、今回は「ゴボウ天うどん」じたいのダシの味を利くために、あえて別皿で頼んでみました。
太めの麺は箸ですくうとすぐに切れてしまいそうなやわらかさ。見た目にもふわふわ感が伝わってきます。口に入れた瞬間にびっくり! 思わず「飲める!」と声に出てしまうほどの、やわらかく、文字通りふわふわとした食感です。
お店が提唱する“もっちヤワ”の麺という表現がぴったりの歯ざわり。お酒を呑んだ後の締めに食べたくなるのも頷けます。疲れた胃にやさしく染み渡りそう。
「ゴボ天」は、ささがきと、ピーラーで薄くむき丸めたものと2種類のゴボウの天ぷら。それぞれ違ったシャキシャキ食感が、やわらかいうどんとよく合います。
続いて、こちらも人気メニューだという「丸天うどん」にチャレンジ。大きな丸い物体がドーンと乗っていて、見た目にも面白い一品。「丸天」とは、魚のすり身を揚げたもので、いわゆるさつま揚げのこと。
ぷりぷりとした食感がアクセントになり、さらに食欲をかきたてます。「ゴボウ天うどん」とはまた違った食感。「のせもの」が変わるだけで、「博多うどん」がまた違った印象になるのが面白いところ!
丸天じたいからも味がしみだすので、もともとのダシ汁にさらに深みを加えて非常に美味。麺のやさしさに、しっかりと力強いダシの強さが絶妙にマッチしています。
博多うどんのベーシックなダシは、かつおと煮干しがメインのところが多いなか、「イチカバチカ」ではダシにもオリジナルの特長があります。
こちらのお店は、もともと博多ラーメンで有名な「一風堂」を運営する企業が展開するうどん店。ダシにもそのノウハウが受け継がれており、昆布、いりこ、干物にアゴ(トビウオ)、ホタテ、鯖節を加えて力強いダシに仕上げられているんだそう。こだわりのダシと、“もっちヤワ”な麺の相性が抜群です。
昨年、恵比寿店の近くに「恵比寿店 別邸」もオープン。博多うどん目当てで行くもよし、博多の呑み方を楽しみに居酒屋さん感覚で訪れて、締めに博多うどんを食べるのもよし。国産レモンを使用した「一八レモンサワー」もお店の名物で人気なんだそう。うどんと一緒に試してみては?
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博多うどん酒場イチカバチカ 恵比寿店
- 住所 東京都渋谷区恵比寿南1-8-9
- 電話 03-5724-3130
営業時間:[月~金]11:00~15:30、17:00~26:00、[土]12:00~24:00(中休み無し)、[日]12:00~23:00(中休み無し)
定休日:無休
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博多うどん酒場イチカバチカ 恵比寿店 別邸
- 住所 東京都渋谷区恵比寿南2-2-7 TS山本ビル 1F
- 電話 03-6451-0177
営業時間:[月~金]11:00~15:30 17:00~26:00、[土]12:00~24:00(中休み無し)、[日祝日]12:00~23:00(中休み無し)
定休日:無休
■鬼ひも川:「五代目花山うどん 銀座」
続いてご紹介するのは、東銀座駅・歌舞伎座近くに位置する、創業150年以上の老舗「五代目花山うどん 銀座」。こちらは群馬県のご当地うどんである「ひも川」の進化形、「鬼ひも川」が食べられるお店です。
「ひも川」は乾麺で、できあがり幅1cmほどのご当地うどん。その幅を4.5~5㎝にしたものが「鬼ひも川」で、こちらのお店オリジナルの商品です。二代目が考案し、大正~昭和30年代まで販売していたという「鬼ひも川」を、五代目である現当主が復刻させたんだそう。
最大の特長である麺の幅も、人の口のなかに入る一般的な幅の広さを考えて4.5~5cmに変えたり、小麦の風味をいちばん味わえる薄さにしたりと、復刻するにあたり改良に改良を重ねて、現在の「鬼ひも川」の姿に至ったそうです。
まずはベーシックに「鬼ひも川」を味わえるシンプルなメニュー、「ざる二味(醤油つゆ・金胡麻つゆ)」を注文してみました。ざるに横たわる幅広で薄めの麺が、「うどん」に対する固定概念を崩しにかかります。こんなうどん、見たことない!
「鬼ひも川」の特長である“モチモチ感のなかにある程よい弾力”をいちばん味わえるのが、冷たい麺での食べ方。温かい麺は一度水で締めたものをお湯でゆがくので、冷たい麺よりもやわらかい食感で、また違った味わいだそうです。
箸で持ち上げてみると、その薄さが際立ってきます。なにしろ幅が広いので、食べるのに苦戦してレンゲを使う人も多いとのこと。すするというよりは、口に持っていくように箸を運ぶのが、うまく食べるコツのようです。
醤油つゆ、金胡麻つゆのどちらも、幅広い麺にしっかりまとわりついてきます。ひらべったい麺を、口に入れて歯で噛み切るまでの一連の動作や、唇ではんでいる瞬間の感触が、筆舌に尽くしがたい面白さ!
麺はその薄さから得る印象に反してモチモチとした弾力があり、噛むほどに小麦の甘さとつゆの味わいが口いっぱいに広がります。
続いて、うどん日本一を決める大会で3年連続優勝したメニュー「鬼釜(上州麦豚使用)」を注文。お店が提唱する“鬼ひも川の美味しい食べ方”をなぞっていただいてみました。
その一、始めのひと口は、鬼ひも川そのものだけを味わう。なるほど、小麦の甘みをダイレクトに味わうことができます。
その二、鬼ひも川と具材を下からよくかき混ぜて、出汁醤油と絡めて食べる。たしかに! 抜群のモチモチ感と素材の旨みが堪能できます。上州麦豚を使用している豚肉は一度甘く煮られており、とても柔らかく、肉じたいの甘みと麺の小麦の風味がベストマッチ!
その三、半分ほど食べたところで、本わさびを入れてまぜて食べる。本わさびの風味と鬼ひも川、出汁醤油の甘めのつゆとが絡みあって、さっぱりとした味わいに変化。最後まで飽きずに楽しめました!
「鬼ひも川」は乾麺もあるので、自宅で試すことが可能。お店では持ち帰り用の乾麺が販売されています。訪日外国人客に人気だという、天ぷらや天丼とのセットで食べてみるのもオススメです。
また、店舗では季節によってトマトクリームやホワイトシチュー、ごま坦々などの期間限定メニューがありますが、そういった濃いめのソースがよく絡み、相性抜群の「鬼ひも川」。店舗に訪れた際は期間限定メニューも要チェックですよ!
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五代目花山うどん 銀座
- 住所 東京都中央区銀座 3-14-13(歌舞伎座裏)
- 電話 03-6264-7336
営業時間:[平日]ランチ11:30~16:00(ラストオーダー15:30)、ディナー18:00~22:30(ラストオーダー22:00)、[土日祝ランチ]11:00~16:00(ラストオーダー15:30)
※土・日・祝はディナーお休みとなります
※麺がなくなり次第終了となる場合がございます
■味噌煮込うどん/きしめん:「山本屋総本家 神田和泉店」
最後にご紹介するのは、愛知・名古屋のご当地うどん「味噌煮込うどん」と「きしめん」が食べられるお店、「山本屋総本家 神田和泉店」。創業90余年を誇る老舗うどん店の味を楽しめます。
「山本屋総本家」のうどんには、初代が改良を重ね生み出した「コシ」、二代目が生み出した「味」、「こく」に対するこだわりと伝統が詰まっており、現在に至るまで継いできているそう。蓋をしないで煮るので空気穴がいらないため、土鍋の蓋には穴があいておらず、小皿代わりに使うことができます。また、うどんが冷めにくいよう信楽焼の土鍋を使用しているそうです。
まずは「味噌煮込うどん」のメニューから、とくに人気が高いという「玉子入煮込」を注文してみました。土鍋の蓋を開けた瞬間、ふわっと湯気が立ちのぼり、味噌の香りが鼻こうをくすぐります。半熟の卵がつゆの熱さで自然と火が通っていく感じが素敵!
生のうどんを直に煮る「煮込うどん」。塩を入れて打ったうどんは生のまま直に煮ることはできないため山本屋のうどんは、国産100%の小麦粉と水だけで作られているんだそう。「“生きた”うどんだからこそ煮込の味が生きる」という山本屋総本家の信念が、料理の味からも感じられます。
うどんは独特のコシがあり、麺の表面に八丁味噌のつゆがしっかり絡んで濃厚な味わい。具材のねぎやかまぼこ、鶏肉などにも、しっかりとつゆの味が染み込んでいて、「これぞ煮込!」という風合い。食べ進めるほどに味が染み込んでいきます。程よい苦みと塩みのバランスがよく後をひく汁は、最後まで飲み干してしまう勢いです!
続いて「きし麺」を注文。こちらも土鍋で煮られて熱々のまま提供されます。「きしめん」といえば、“日本三大ご当地うどん”に数えられることもある、有名な平打ちうどん。こちらのお店では、醤油だしの汁で熱々に煮込まれたものが食べられます。
蓋を開けた瞬間に花鰹が踊り、鰹節の風味が立ち込めます。幅1.5cmほどの平打ち麺はつるつる、シコシコしていてよいコシがあり、塩気が強めのつゆとよく絡みます。濃いめのつゆと相性が良さそうなので、「カレーきし麺」(1000円)もオススメです。
こちらのお店では愛知名物の「味噌おでん」や「牛すじ」もメニューにラインナップされています。うどんと一緒にぜひ試してみてくださいね。
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山本屋総本家 神田和泉店
- 住所 東京都千代田区神田和泉町1-10-8松和ビル1、2F
- 電話 03-3861-5030
営業時間:11:30~15:30(LO:15:00)
定休日:日・祝
編集・ライター歴トータル17年以上。マンガ、小説、雑誌等の編集を経てフリーライターに転向後、グルメ、観光、ドラマレビューを中心に取材・執筆の傍ら、飲食企業のWEB戦略コンサルティングも行う。そのため、日本グルメの新商品やトレンドのキャッチアップが早く、LIVE JAPANでは幅広い年齢層や国籍の方にわかりやすく伝えている。
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