新鮮で、すっきりとしていて、何も入れなくてもおいしく飲める日本の牛乳。日本の牛乳はどうやって製造されている? お任せください。日本の牛乳に関する様々な疑問を、解き明かしていきます!
牛乳の基本(1)牛乳の種類
牛乳パックをよく見ると「牛乳」「加工乳」「乳飲料」と、さまざまな表記があります。どれも牛乳なのでしょうか? 実は、このなかでも100%牛乳なのは「牛乳」表記のものだけ。それ以外は、その飲み物に対する牛乳の割合で、呼び名が変わってきます。主なところをまとめてみましょう。
左から牛乳、牛乳、牛乳、乳飲料(ビタミンD入り)、乳飲料(コーヒー味)
・牛乳/成分無調整牛乳……生乳から何も足さない、引かないもので、乳脂肪分が3.0%以上含まれているもの
・成分調整牛乳……生乳から水分やミネラル、脂肪を減らしたりしたもの
・低脂肪牛乳/無脂肪牛乳……成分調整牛乳のうち、脂肪分を0.5~1.5%にしたもの/脂肪分を0.5%にしたもの
・加工乳……牛乳に乳製品(脱脂粉乳・バター・クリームなど)のみを生乳に加えて、濃さなどを変えたもの
・乳飲料……コーヒーやフルーツの成分、鉄分やカルシウム分などを強化したものなど、乳製品以外のものを加えたもの
牛乳の基本(2)どうやって作られているの?
各産地から集められた生乳は、次のような過程を経てお店に並びます。
1.ホモジナイズ(均質化)処理……クリームの塊をなくすために、脂肪球を細分化する
2.殺菌、減菌処理
3.パッケージ化
となります。
牛乳の基本(2)牛乳のパッケージ表示
特選よつ葉牛乳のパッケージで説明します。
① 横倒しでの保存はだめなこと、パッケージのプラスチックのふたを開けるときに中味がこぼれないよう注意、紙容器のため外部からの衝撃に弱いことや、においの強いもののそばにおくとにおいを吸収しやすいことなど買ってからの注意
② 冷凍すると風味が悪くなること、賞味期限(容器の一番上に書かれている)は、未開封で冷蔵保存したときに品質が保たれる期限である断り書き
③ コップ1杯(200ml)あたりの栄養成分表示。左上から下へ順番に
エネルギー 139kcal 、たんぱく質6.8g、脂質8.1g
右上から下へ順番に 炭水化物0.2g、カルシウム227mg
ちなみにこの数値は、年間の平均値とのこと。
④ 牛乳の種類(上で説明)。何も足したり引いたりしていない、100%の牛乳が飲みたかったらここに「牛乳」と書いてあるものを買おう
⑤ 日本の牛乳のパッケージでよく見かけるこの「公正」マークは、公正取引委員会の指導のもと、業界団体などが自主的に定めたルールに基づく表示をしているという印です。
⑥ 賞味期限は、上部に印刷されているとの記載
⑦ 開封後の取り扱い。なるべく早めに飲みきるようにと書かれている
⑧ この牛乳が製造された場所の住所
牛乳の基本(3)すべてメイドインジャパン
基本的に生乳、パッケージもすべて日本産です。チーズやバターなどの乳製品を含めると自給率は66%まで下がりますが(2008年調査)、生鮮食品のため国内で搾乳、生産となっています。近年、乳牛のエサとなるトウモロコシの値上がりで生産コストは上がる一方だそうですが、基本的に牛乳の値段は1年に1回決まり、それがキープされる仕組み。猛暑に生産量が減ってしまうと、バターなどの乳製品の原料となる生乳を牛乳の生産に回すことになり、数年前はバターの値段上昇につながりました。
牛乳の基本(3)各社独自の製法
日本にはたくさんの牛乳メーカーがあります。スーパーやコンビニで見かけるのは、明治、森永、雪印、よつ葉に、それぞれコンビニ独自のプライベートブランドのもの(大部分は有名メーカーの製造)が多いのではないでしょうか。
どのメーカーも高いクオリティを誇っていますが、そのなかで少しだけ味の差を分けるのは殺菌温度。とくに低温殺菌の牛乳は、生乳本来の味に近くなるといわれています(栄養価には変わりなし)。日持ちは短めで、外に出しておくとすぐ傷んでしまいますが、見つけたらぜひ味わってみてください。
・明治おいしい牛乳 殺菌温度 130度で2秒間
・森永おいしい牛乳 蒸気で牛乳を包みこむ新しい製法。瞬時に過熱し、冷却するので加熱時の独特のにおいをおさえている
・雪印メグミルク 殺菌温度 130度で2秒間
・よつ葉 120度 2秒間
・一般的な低温殺菌乳 殺菌温度は63~65℃で30分間保持
ちなみに、長期保存が可能なロングライフ牛乳は、135~150度で1~3秒で殺菌し光と熱を遮断した容器を使用しているため無菌状態になっています。ただ、一度開封したら普通の牛乳と同様、冷蔵庫で補完し、2日程度で飲みきることがおすすめです。
牛乳Q&A(1)牛の種類は海外と違う?
日本の乳牛の99%が白黒の模様のホルスタイン種。その他に、薄い茶色のジャージー種やブラウンスイス種などがいます。
牛乳Q&A(2)冬は濃くなる!?
日本の牛乳は、脂肪分がだいたい3.5~3.7%のものが多いので、味が変わるのか?と思うかもしれません。
乳牛は暑さに弱い動物です。そのため生乳生産は冬~春に多く、夏には減少してしまいます。乳脂肪分などの乳成分も夏には低下します。冬のほうが、濃くておいしい牛乳が楽しめるかもしれません。
季節ごとの成分の変化が、下のグラフに示されています。
無脂乳固形分、乳脂肪分ともに、夏は低く、冬のほうが高くなる傾向にあります。無脂乳固形分とは、牛乳から乳脂坊分と水分を除いた成分。たんぱく質やカルシウムといった、牛乳に豊富な栄養素を含んでいます。つまり、おいしいだけでなく、栄養面から見ても、冬のほうが栄養価の高い牛乳が飲めると言えるかも!
ちなみにアメリカの牛乳は日本より脂肪分が低く薄いそう。ヨーロッパなどでは、成分が均質化されていないため、飲む前によく振って混ぜるような牛乳も見かけます。
ちなみに、なぜ3.5~3.7%かというと、これは農協などの集荷団体が、3.5%を買い取り基準値として定めたから。それ以下だと逆に買い取り価格が安くなるため、酪農家が飼育方法などを研究し、努力しているのです。
牛乳Q&A(3)北海道産の牛乳は特においしい!?
生乳の生産量が全国一(53%)の北海道ですが、実はチーズやバターといった乳製品に使われることが多く、飲料としての牛乳は、東北や北関東、九州産が多くなっています。
乳製品といえば、北海道と思うかもしれませんが、味の品質に実はそんなに大きな差はありません。全国的に同じ品質の同じ味のものを生産するように品質管理がされているからです。
とはいえ、北海道の広い大地に育つ乳牛を想像すると、おいしさが増すような気がしますね。
牛乳Q&A(4)賞味期限と正しい保存方法は?
牛乳は冷蔵庫で10度以下で保存が基本です。
なお、パッケージ上に印刷されている賞味期限が飲んでOKの期間?と思うかもしれませんが、一度開封したら2日程度で飲みきってください。
また賞味期限は、あくまで未開封の時のみ。一度開封したら、3日を目安に飲みきるようにしてください。
牛乳をうっかり外に出しっぱなしにしてしまった、まだ飲める?と不安に思う場合は以下をチェック。
1.分離したり、ブツブツが出ている
2.普段と違う匂いがする
3.ちょっとなめてみると、酸味や苦みがある
以上のような場合は、飲むのをやめたほうがいいでしょう。
暑い日に外で冷たい牛乳を飲みたいと、出かける前の晩に冷凍庫へ……というのはアウト! 解凍したときに組織が崩れ、味が変化してしまいます。たんぱく質が分離して沈殿し、脂肪分が浮くという、見た目にもおいしくなさそうな感じになります。飲んでも問題はありませんが、凍らせないほうがいいでしょう。
牛乳Q&A(5)日本ならではのこだわりは?
メーカーによっては、高い品質を守るために、パッケージの色にまでこだわっているところがあります。
「森永のおいしい牛乳」は、光による風味劣化に着目し、白、赤、青、緑、黒の容器にパッケージした牛乳の味や香りの差をテスト。すると光を通しやすい白のパッケージの劣化が最も大きく、黒が最も少ないことがわかりました。そこで、濃紺のパッケージなのだそうです。
明治は、牛乳の酸化を防ぐため殺菌前に生乳内の酸素を追い出す「ナチュラルテイスト」製法と、開封までになるべく空気に触れない「おいしいパック」を開発しています。
牛乳Q&A(5)パッケージがリサイクルされるってほんと?
ペットボトルの回収はご存じかもしれませんが、スーパーマーケットでは牛乳パックの回収も行っています。1リットルのパック30枚で、5個のトイレットペーパーになるそう。もし協力したいという場合は、飲み終わったパッケージを洗って乾かして、切りひらいてスーパー内にある指定のボックスへ入れてくださいね。
日本の牛乳に関する疑問、これでだいぶ解決したでしょうか? もしもあなたが牛乳好きだったら、旅行で来たときにぜひお試しくださいね!
※一部データや表などは、一般社団法人 日本乳業協会から引用しました
※価格やメニュー内容は変更になる場合があります。
※特記以外すべて税込み価格です。
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