「日本の常識は、世界の非常識」ってけっこうあると思いませんか?もちろんその逆もしかり、外国の常識は日本の非常識もそれ以上にありそうなものですが…。
日本人にとって当然の習慣も、海外から見ると「なんだかおかしいぞ!?」と感じることも多いようです。来日した外国人はもちろんのこと、海外に移住した日本人ですら、その土地に馴染むにつれ、久しぶりに帰国すると母国の習慣に違和感を覚えてしまうとか。
今回お話を伺ったのは、吉本興業のアジア版「あなたの街に“住みます”プロジェクト」の芸人(総称「住みますアジア芸人」)で、インドネシア移住4年目のアキラ・コンチネンタル・フィーバー氏。芸歴8年目で、パフォーマンスやコメディマジックを得意とし、インドネシアのスター発掘番組で受賞歴もあるほどの実力派です。
そんなアキラ氏に日本から直撃取材を依頼しました。インドネシアで暮らしてみて改めて感じた“日本のおかしな習慣”を語ってもらいました。
1:席の譲り合いの「どうぞ」「どうぞ」が笑える!
インドネシアでもお年寄りや具合の悪そうな人が電車に乗ってきたら、優先席でなくても自然と席は譲ります。ところが健康そうな人同士で空いている席をめぐって「どうぞ」「どうぞ」の譲り合いはやらないそうで……。
「現地のインドネシア人からすると、この光景はとても面白い。逆に、座りたくないのかと思えて笑っちゃうんです」
確かにこれは日本でよく見る光景。“譲り合いの精神”で素晴らしいことですが、折れて座る方がちょっとだけ「すいません……」って感じになりますよね。
2:別れ際に小刻みな会釈を何度もするのはなぜ?
日本では初対面の時は“おじぎ”をしますが、インドネシアでは“握手”。現地の人からすると握手をすることは好意を表わす意味があるそうです。そして、別れる時に日本人はまた頭を下げますが、これを何度もやっているのはヘンに見えているようで……。
「インドネシア人からすると、あれは爆笑の光景だったりします。なんだかニワトリに似ていると言うのです」
……ニワトリ…。首を前後に振ってエサをついばんでいる様子と重なるんでしょうか。小刻みな会釈は日本人の礼儀正しさだとは思いますが、確かにサラリーマンで「何回やってねん!」とツッコミたくなる人は、たまにいますよね。笑
3:卵をナマで食べるなんてドン引き!
日本人が大好きな卵かけご飯。ところがインドネシアでは卵をナマで食べる習慣がないので、それをご飯にかけるなんてありえないとか。
「僕がYouTubeの撮影で、ナマ卵9個とインドネシア人のほとんどが大嫌いな納豆を12個まぜて食べたのですが、それを見て心配するコメントがたくさん来ました。まぁ、大丈夫でしたけどね」
食は文化そのもの。こればかりはそれぞれの国で違いを楽しむのがベターではないでしょうか。訪れた国の食文化を体験してみる。これぞ、醍醐味。日本の卵かけご飯、最高ですよね!
4:男性がVネックのTシャツを着るなんて引く!
インドネシアでは、男性のTシャツは基本が丸首スタイルで、女性がVネックなんだそうです。日本では性別関係なしにどちらを着ても自由ですが、そこはあちらから見るとヘンな目で見られるようで……。
「インドネシアに来た日に僕はVネックを着ていたので、あちらこちらでジロジロ見られました(笑)。もともとVネックが大好きだったので、たくさん持ってきて残念です」
ちなみにインドネシアでは、露出が多いタンクトップもあまり男性は着ないそうです。そういう人かと勘違いされる可能性もあるとか。日本では、筋肉自慢の男性の定番はタンクトップ。ま、日本でもそういう人かと勘違いされる可能性はなくはないですけどね……。
5:デートの割り勘なんてありえない!
インドネシアは「レディーファースト」の意識が高いため、基本、デート代は男性が支払うのが普通です。もし割り勘にしようものなら、その男性は一生独身かもしれない――それくらい、男性には甲斐性を求めるお国柄のようです。
「僕に関してですが、吉本興業の給料ではデート代だけで破産です。一生独身かもしれません。助けてください(笑)」
日本では、若い世代を中心に割り勘が浸透してきつつありますが、それに伴い男性の立場が薄らいでいるようにも思えます。「俺にまかせろ!」という男性は確かに頼れる。せめて給料日の直後くらいは言ってみよう!?
6:車の運転を女性がするなんて信じられない!
インドネシアでは、デートはもちろん彼氏が、家族のファミリーカーでもパパが運転するのが基本だとか。これも男性の甲斐性のひとつ。
「イスラム教の先生に以前言われました。男性が家族を守るためにハンドルを握りなさいと。インドネシアは渋滞大国で、2キロ進むのに2、3時間かかることもしょっちゅうです。正直、“男はつらいよ!”です」
渋滞に巻き込まれた時の家族の険悪なムードといったらない。これを感じながら運転するオトコたち。その点、日本は女性ドライバーも増えて、役割分担ができるようになって解放されたのかも。
7:日本の恋愛関係ってチャラくないですか?
インドネシアに住んでから、日本の男女関係がチャラいと感じだしたアキラ氏。昨今、日本では不倫スキャンダルが世間をにぎわしていますが、こんなことは現地では考えられないという。
「イスラムの教えでは、結婚するまでセックスはだめ。キスもだめです。もしセックスをした場合は、民衆の前でムチ打ちの刑となります。そのため、インドネシアでは不倫や二股などはほとんど見受けられません。日本と比べると、離婚も少ないです」
一方でお金があれば、一夫多妻はOKだという。日本男性にとって、一夫多妻制は「男のロマン」として憧れかもしれませんが、これをするには経済力だけでなく、男の大きな器も必要でしょう。さて、それにかなう男性はどれほどいるのか……? アキラ氏は言う。
「私はそもそも安月給なので、憧れてませんよ(笑)」
8:酔っ払いの人たち、面白すぎ!
インドネシアはイスラム教を信仰する人が多いので、その人たちはお酒NGです。ですから、酔っ払って騒いでいる人や千鳥足の人はいない。夜の乾杯はコーヒーやお茶でするそうです。
「一時帰国した際に久しぶりに見た、酔っ払いの人たちが強烈でした。僕もこっちに来てからは大好きなお酒をやめるしかなく、超健康になり、メタボを脱却しました。今ではシックスパックです」
確かに日本の繁華街の夜は酔っ払い天国。昼間はまじめだろうと思われる人が、とんでもなくだらしなくなる姿をよく目にしますよね。あれは自重した方がいいでしょう。
9:文化として「断食」を日本の方にオススメします!
「郷に入ったら郷に従え」ということで、インドネシア人と一緒に断食にチャレンジしたというアキラ氏。
「これが凄いのなんのです!体がデトックス効果で毒素がぬけたからなのか、シワが少なくなったり、爪もきれいになったような気がします。それから、体臭も、口臭もなくなったような…。歯茎だって健康なピンクに!(関係ないかも)時々悩まされていた胃もたれなどもなくなった気がします。断食、オススメです!痩せたい方は僕がレクチャーしますよ。もちろん有料で(笑)」
いかがでしたか? インドネシア在住の芸人・アキラ氏から見た“日本のおかしな光景”。言われてみれば納得のものもあれば、今回はインドネシアの独特な習慣に「世界はどこも個性的だな」とも思わされました。この多様性が楽しいですよね。外側からの目を通して、改めて日本のよさ、おもしろさを再発見してみてはいかがでしょう。
アキラ・コンチネンタル・フィーバー
1981年 9月2日生まれ 36歳 血液型O型 独身
吉本興業 お笑い養成学校 NSC東京16期生
2011年デビュー
芸歴8年目 現在アジア住みます芸人としてインドネシアで活動中
在インドネシア4年目
パフォーマンス コメディマジック
放送作家として『ダウンタウンDX』『志村けんのバカ殿様』などを担当。また脚本家として映画『ブルーハーツが聴こえる』連ドラ『黒猫、ときどき花屋』などを執筆。放送作家&ライター集団『リーゼント』主宰。好きな食べ物は、和食。
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