突然ですが、親日国ナンバーワンはどこかご存じですか?「ジャパンブランド調査2017」によると、タイ、ベトナム、フィリピンが同率1位だそうです。
中でもベトナムは、日本に来ている留学生も中国についで2番目に多く(※1)、実際に日本に来ている、または来たいと思っている人が多い国でもあります。ベトナム人は日本にどんな印象を持っているのでしょう?
日本に行ったことがある人、ない人それぞれに話を聞いてみたら、意外な本音が浮き彫りになりました。
日本といえば?そりゃ「AJI-NO-MOTO」でしょう!
まずは、日本に行ったことがないベトナム人に日本の印象を聞いてみましょう。彼らが決まって答えるのが「AJI-NO-MOTO」。もちろんこれは、おなじみの「味の素」のことです。
「日本といえばAJI-NO-MOTO。日本語は全然知らないけど、『AJI-NO-MOTO』だけは知ってるよ!日本人も家ではAJI-NO-MOTOを必ず使うでしょ?」(20代/男性/イベント業)
「ベトナムに日本の企業は色々進出しているけれど、AJI-NO-MOTOが一番有名だと思うよ。AJI-NO-MOTOを発明した日本は素晴らしいよ!」(20代/男性/ホテル業)
ベトナムに味の素が進出したのは1991年のこと。それ以降、屋台や家庭料理の強い味方になっています。実際にベトナムではスーパーにAJI-NO-MOTOが山積みで売られており、AJI-NO-MOTO提供の料理番組もあるほどで、知名度は抜群。日本=AJI-NO-MOTOといわれるのも当然です。
余談ですが、日本人がベトナムの街中を歩いていると、たまに「AJI-NO-MOTO!」と声をかけられます。
ドラえもん、ドラゴンボール、ポケモン!日本のアニメ最高
日本のアニメは世界に誇るヒットコンテンツ。日本に行ったことがないベトナム人の間でも人気です。
「日本といえばアニメの国のイメージ。友達がよくFacebookでポケモンの動画をシェアしているからつい見ちゃう。クレヨンしんちゃんも人気がありますよ」(20代/女性/学生)
「ドラえもん、名探偵コナン、ドラゴンボールが好きで日本語の勉強を始めました。ドラゴンボールは毎週、アップロードされた動画を見ています。いつか日本で働くのが夢です!」(10代/男性/学生)
日本のアニメが放送されておらず、日本国内の動画配信サービスも利用できないベトナムですが、スマホとFacebookが大好きなベトナムの若者たちにとって、シェアされて広まった「日本のアニメを動画サイトで見る」というのは全く珍しいことではありません。アニメがきっかけで日本を好きになった人も、ベトナム国内には大勢います。
ちなみに、筆者があまりアニメに詳しくないことを伝えると……。
「えっ!日本人でアニメが好きじゃない人なんているの?毎シーズン新作がたくさん放送されるのに?信じられないよ……」(20代/男性/学生)
と、落胆されてしまいました。
日本に行ったら、一面の雪景色を見てみたい!
「ベトナムでは雪が全然ふらないの。北海道の雪を一度見てみたいです」(20代/女性/主婦)
「サパ(ベトナム北部)で雪が積もったニュースにワクワクしたけれど、日本の雪はもっときれいなんだろうなぁ!」(20代/女性/学生)
「APECがダナンで行われたとき、長崎の船が来たんだ。それから行ってみたいと思っているんだけど、長崎では雪はふるの?日本の美しい街にふる雪は素晴らしいだろうね」(50代/男性/製造業)
ベトナム北部の山間部では雪が積もることもありますが、ベトナム人にとって雪景色は憧れ。特に、雪に縁のないベトナム南部の人ほど、雪景色を見たいという願望は強いようです。
日本に行ったことがあるベトナム人は寿司のおいしさに感激
次に、来日経験のある日本が好きなベトナム人に話を聞いてみました。すると、新鮮でおいしい日本料理をベタ褒めする声が多数聞かれました。
「日本料理といえば寿司!タコとイカが好き」(20代/女性/カフェ経営)
「日本は海鮮がおいしい。ベトナムの内陸部に住んでいると、海鮮物が新鮮じゃないからあまりおいしくなくて不満なんです。何より、寿司は最高においしかった!また食べたいです」(30代/女性/大学講師)
「日本に留学中、居酒屋でアルバイトをしていました。日本中、どの居酒屋でも必ず新鮮な『刺し身』を提供できる日本はすごいです。海の近くじゃない限り、生の魚介類を食べるのはベトナム人でも怖い(笑)」(20代/男性/日本語教師)
日本人と同じく、海鮮料理が好きなベトナム人は、新鮮な魚介類をどこでも食べられることに感動するようです。
しかし、他のアジアでは人気の「日本のラーメン」について、ほとんど意見を聞くことができませんでした。実は、ベトナムは国民食のフォー文化が根付いているため、日本のラーメンは他のアジア諸国に比べるとそこまで人気がありません。あっさりとした薄味のフォーに比べると、日本のラーメンは濃いと感じるため、あまり口に合わないようです。
仕事第一な日本人。真面目すぎじゃない?
食事と同じくらい意見があったのが、日本人の働き方について。
「日本人はちょっと真面目すぎ。仕事中も全然冗談言わないんだもん」(20代/女性/通信業)
「日本人の同僚は、家族が体調不良でもあまり休みませんよね。それがショックでした。ベトナム人の場合、家族が熱を出したらすぐに帰ります。また、親族やご近所さんの冠婚葬祭は参加して当然なので、平日でも休みますよ。仕事を理由に家族の行事に参加できないのは悲しいですね」(40代/女性/サービス業)
「日本に出張をしたとき、日本人の時間の正確さに驚かされました。就業時間10分前には全員が揃い、終業時刻にならないと一人も帰らない。ベトナムは時間にアバウトだから、多少の遅刻や早退も多めに見てくれる。あまりきっちりしすぎると体を壊しちゃわないかな」(40代/男性/観光業)
日本に比べて仕事のスピードがゆるやかなベトナム。お昼休みは2時間しっかり取ってお昼寝をする会社もあり、「日本人は真面目すぎ!」と日本に行ったことがないベトナム人も口を揃えて言います。
また、家族を何より大切にするベトナムでは、仕事を優先するなんてもってのほか。社会進出する女性が多いですが、家庭の事情で休みを取ることに理解があるのも、活躍の機会を増やす理由となっていそうです。
親日家が多く、好奇心旺盛な性格のベトナム人にとって、日本は食、観光、文化すべてが興味の対象になっています。一方、日本への旅行について聞くと、「料金が高い」「ビザを取るのが大変」という声が多く聞かれました。ベトナム人の海外旅行は、近隣のタイ、マレーシア、シンガポールが人気で、日本は「行ってみたいけど行くまでのハードルが高い国」という位置づけのようです。
反対にいえば、ベトナムからの観光客は、さまざまなハードルを超えて来日しているということ。日本でたくさん良い思い出を作ってもらえるよう、困っている人を見かけたら、率先して手助けできると素敵ですね。
※1「平成29年度外国人留学生在籍状況調査結果」独立行政法人日本学生支援機構(JASSO)調べ
旅行会社に勤める現役会社員の日本人ライター。大手ウェブサイトで編集者として従事した後、旅行会社に転職。そのため、旅行系・グルメ系のジャンルを得意とし、日本全国47都道府県で取材実績あり。旅行会社勤務だからこそ知れる秘境や絶景、旅の裏ワザを伝えながら日々取材に奔走している。
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