アメリカといえば、世界の中でもさまざまな分野で影響力を持っている国とあって、メディアで情報を目にする機会も多いですよね。2016年の調査では、日本人の留学先として、堂々の一位に輝いています。
今回インタビューに答えてくれたのは、日本の大学に通う、笑顔がとってもチャーミングなアメリカ人の女性。来日4年目となる彼女は、大学のゼミで「大衆文化」について学んでいるといいます。文化や生活習慣の違いによるエピソード、大学生ならではの視点を持ったエピソードを聞くことができました!
(以下は、インタビューに応じてくださった個人の意見です)
1.「甘っ……」卵焼きの味が、想像と違っていた…
「卵が好きで、日本に来る前から卵焼きを食べるのをとっても楽しみにしていたんです。でも、実際に食べてみたら甘くて…。アメリカでは、卵だけの料理に砂糖を入れることはないからすごく不思議。日本の甘い味付けの卵焼きは、苦手です…」
日本の食卓やお弁当には欠かせない「卵焼き」。ふわふわとした食感に、ほんのりとした甘みが美味しさのポイントでもあると思うのですが、卵が甘いというのは意外だったようです。でも、砂糖を入れないでつくる「だし巻き卵」は美味しかったとのこと。
家でも、卵焼きをつくることがあると言う彼女。「卵焼き」と言えど様々な種類のレシピがあるので、好みに合う味を見つけてくれるといいなと思います。因みに、卵焼きに砂糖を入れるのには、味以外にも理由がありました。やわらく焼きあがること、腐りにくくお弁当との相性が良いことだそうです。隠し味程度に入れるといいかもしれませんね。
2.日焼けは悪いこと?日傘をさしている人がすごく多い
アメリカは「日焼けをしたい!」と思う人が多いですが、日本人は肌のことを気にして日傘をさしている人が多いですよね。そもそもアメリカで日傘を売っているのを見たことがありません」
確かに、テレビや化粧品メーカーの宣伝の影響もあって、日本の徹底した「紫外線対策」には目を見張るものがありますよね。それはやっぱり「美肌」を保ちたいという、痛切な願いがあるから…。白い肌を持った白人こそ、紫外線によるダメージは気にならないのでしょうか?
「皮膚ガンなどの影響があるので、気にしないというわけではないのですが…」と前置きした上で、「それよりも、色が白いと病気みたいって言われんです!肌が焼けている方が、健康的でイケてるっていう考えの人が多いと思います。私もアメリカに帰ると、病気みたいだねって言われちゃう」そんな彼女の肌は、ほんのりピンクがかった美しい肌。日本人が羨む色白の肌が、悩みのタネだったとは!無い物ねだりなのでしょうか…。
3.色々な食べ物に「マヨネーズ」が入っているのが辛い…
「日本の食べ物には、本当に色々なものにマヨネーズが入っていますよね。元々あまり好きではないので、結構苦労しています(苦笑)」。マヨネーズが好きそうなイメージのあるアメリカ人の口からこのような発言が飛び出すとは、ちょっと意外ですよね。
詳しく聞いてみると、日本はハンバーガー、ピザ、サラダなどに使われていることが多く、メニューを頼む時に悩むのだそうです。アメリカでもハンバーガーに入れることはあるようですが、ごく稀とのこと。ピザに関しては、完全に日本オリジナルなようで、なかなか受け入れ難いようです。
ちなみに、日本と世界のマヨネーズ事情の違いが関係しているのをご存知でしょうか?日本のマヨネーズは「黄卵タイプ」なのに対して、世界では「全卵タイプ」が主流。よりまろやかでコクのある日本のマヨネーズは、味のアクセントにぴったりと言われています。今回お話を聞いた方はそもそも嫌いということでしたが、最初は難色を示す外国人も、日本のマヨネーズの味を知って納得してくれる人も多いようですよ。
4.日本の「シャープペン」は高いけれど、質が良い!
「7年前に日本に来た時に買ったシャープペンをまだ使っています」という彼女。日本人からすると、そんなに特別な感覚ではないですよね。筆者もその場にいたスタッフも、今までシャープペンが壊れた記憶はありません。でも、アメリカの事情は違うようで…。
アメリカのシャープペンは4本ぐらいのパックで売られていることが多く、たいてい日本の1本分の半値ぐらいで買えるのだそうです。でも、「アメリカの大学に通っていた時は、一ヶ月に1本ぐらいの頻度で壊れていました」というから驚き!彼女が勉強熱心だったというのもあると思いますが、使っているうちに芯が出てこなくなってしまうことが多いのだそう。
日本の文具事情を改めて見直すと、機能性とデザイン性を兼ね備えており、バリエーション豊富なことから、外国人からも高い評価を受けているようです。人気の上位は、消せるボールペンや付箋、マスキングテープなのだとか。確かに、日本には可愛くて便利な文房具がたくさんありますよね。日本を訪れた際には、ぜひ文房具屋さんにも立ち寄ってもらいたいものです。
5.街中で「マスク」をしている人を見て、びっくり! 街は重病人だらけ?
「初めて日本に来た時、マスクをして歩いている人を見て余程の重病人なのかと思いました。アメリカでマスクをしているのは病院の先生ぐらいで、お店には売っているのを見かけたことはありません」
「伊達マスク」なんていう言葉もあるほど、いつの間にかマスクを愛するようになった日本人。特に、冬場と花粉症の季節には、マスクなしの生活はありえないと思っている人も多いことでしょう。風邪や花粉症の予防、人にうつすのを防ぐという観点では理にかなっていると思うのですが、アメリカ人は咳やくしゃしみが出たらどうするのでしょう?
話を聞いてみると近年では、「腕」で鼻や口を抑えるのが推奨されているのだそう!手のひらで覆うと、物を触ったときに菌がうつる可能性が高いのに対して、腕はそのリスクが軽減されるからとのことです。想像だにしない発想に、逆にこちらもびっくりです。
6.レストランで、「すみません」と言いにくい…。それ失礼じゃないの?
「レストランで、店員さんを呼ぶのにすごく勇気がいります。じ〜っと見て、相手が気が付いてくれるのを待っていることが多いです」。自己主張をはっきりするといわれているアメリカ人が、そのようなことを言うのはかなり意外ですよね。そこには、日本とアメリカの文化の違いがありました。
アメリカのレストランでは、店員さんを呼ばなくてもタイミングを見計らって様子を伺いに来てくれるのが、一般的な接客スタイルなのだそうです。「お客さんの方から呼びつけるということは、店員さんが仕事をしていないことになっちゃうから、とっても失礼…」とのこと。「すみません!」と言わないと店員さんが来てくれない日本では、ベルの置いてあるお店やタッチスクリーンでオーダーできるお店が、精神的に楽とのことでした。
7.「ドンマイ!」って…(笑)
「嫌なことが起きた時に、『ドンマイ!』と励ましている人がいて、最初はどういう意味なんだろうと思っていました。後から、英語の ”Don’t mind”を略していると知って、そういうことだったのかと…!」
「カタカナを見ると、英語かなと思って反応しちゃうのですが、意味が分からないと本当に苦労しますね。ドイツ語から来ている『アルバイト』もその一つでした」。和製英語が多く使われる日本語は、ネイティヴの人には混乱を招いているようです。英語がアレンジして使われていることに対しては、不思議で何よりも面白いとのこと。
因みに、「ドンマイ!」の意味を英語で正しく言うと、“Don’t worry about it.”だそうです。くれぐれもお間違いなく。
8.「顔が大きい」って、どういうこと?
「日本人は、すごく外見にこだわりますよね。人に対しても見た目でいじることが多くて、『めっちゃ太ったね』とか平気で言う人がいますが、とっても失礼だと思います…。アメリカでは、ちょっとあり得ないです」
これは、残念ながら否定しようのない事実かもしれませんね…。筆者がこの記事を書いている側でも、中学生ぐらいの男の子たちが「ブス、ブス、ブス」と言っているのが聞こえてきました。親愛の情を込めて言っている場合もありますが、決して良い気持ちはしないですよね。
外見よりも中身を大切にするというアメリカ人。一番戸惑ったのは、「顔が大きいとか、小さい」と表現することだと言います。「日本に来るまで言われたことがなかったので、どういう意味が分からなかった」とのこと。顔が小さいのは何となく分かるようになったけれど、大きいという感覚は未だによく分からないといいます。
筆者がこの表現を目にしたのは、高校生ぐらいだったでしょうか。ファッション雑誌で「小顔特集」なるものが組まれていました。それからは、小顔の方が美しいというような風潮が広まったように思います。外見を気にするあまりに、大切なことを見失いがちになっているのではないかと、痛感させられるエピソードでした。
9.風邪で病院に行くんですね。アメリカは医療費が高いから行かないよ
「アメリカでは医療費が高いこともあって、病院に行くことはほとんどありません。歯のメンテナンスなどは別として、年間を通して一度も行かないことも結構あります」。風邪や熱、喉の痛み程度ならば、自分で薬を飲んで治してしまうのが一般的だといいます。
では、病院へ行くボーダーラインはどこなんでしょう?冗談交じりに、「骨折はどうですか?」と聞いてみると…。「行かない場合もあります。私のお母さんがそうでした(笑)」というからびっくり!足の指を骨折した時に、病院に行ってもあまり詳しいことは分からないだろうからという理由で、自然治癒させてしまったのだそう。
これは少し極端な例ではありますが、病院や薬に頼らずとも自分の力で病気を克服できるのなら、それが一番いいのかもしれませんね!
10.人気のアイドルグループ、合成じゃないの!?
近年、何かと話題を集めている女性のアイドルグループ。同じような服装に同じような髪型をしている女の子たちを見て「最初は合成かと思った!」といいます。可愛いと思いますか?という質問に対しては、「怖いです」という答えが…。集団生活が根付いている日本だからこそ、あのようなスタイルが受け入れられるのでしょうか。
もう間もなく日本で就職活動を始めるという彼女。皆が同じようなリクルートスーツに身を包んで活動することについても聞いてみました。すると、「あまり好きじゃないですね…」と前置きした上で、「でも、同じ格好をしているからこそ、個性のある人が目立つのかなとも思います!」という、意外な回答が返ってきました。
このような視点を持って活動している日本人は、そんなに多くはないのではないでしょうか。アメリカにはない文化だからこそ、気が付ける視点のように思いました。そんな彼女こそ、就職活動では存分に個性を発揮してくれることと思います!
いかがだったでしょうか?
今回は、表面的なことに止まらず、日本人の中に溶け込んで生活している彼女だからこそのエピソードをお伝えしてきました。
「なんだか、ネガティブなことを言い過ぎてしまったかな。でも、日本の生活とっても楽しんでいます!」と、帰り際に笑顔で話す姿も印象的でした。日本の文化や生活習慣をしっかりと受け止めているからこその視点や指摘にはしっかりと耳を傾けて、より友好な関係を築いていけたらいいなと思います。
メイン写真:Mahathir Mohd Yasin / Shutterstock.com
京都生まれ。幼少期をオーストリア、高校時代をカナダで過ごした帰国子女。海外生活から日本の良さを再発見。最近特に注目しているのは、農業、焼き物、染物など「日本の伝統文化」。Webデザイナー兼ライターとして、日本の魅力を発信することを目指しています!
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