外国人にとって、言語も文化も異なる日本は全てが真新しく映るだろう。最初にぶつかるハードルは、何と言っても言葉の壁。日本語がわからなければ。看板や標識も読めず、当然日本人が何を言っているかも理解できない。コミュニケーションが上手く取れないと、社会が、人々が、自分を置き去りにして進んでいく感覚に陥るかもしれない。日本に限らず、異なる文化に順応することは容易なことではない。
もし言葉を話せるようになっても、文化や習慣の違いが大きく立ちはだかる。世界中では国の数だけそれぞれ特有の文化が存在し、各国で浸透している独自の習慣が多様にある。日本もご多分に漏れず暗に常識とされるルールが多岐に渡り存在する。日本の社会で最もポピュラーなイベントのひとつと言えば「飲み会」。顕著に日本らしい文化的特徴が表れる日本の飲み会を例に、日本の文化と在り方とマナー、振る舞いについて理解を深めよう。
杯を交わす前に
飲み会に誘われたら、遅刻はNG。誘った側が道に迷っているのかと心配するかもしれないので、遅刻は誰にとっても得はない。お酒の席に限らず、日本でのマナーとしてなるべく10分前行動を心がけよう。
日本では、飲み会への誘いは、様々なシチュエーションにおいて発生する。特に日本文化で顕著なのは、仕事後に上司や同僚、後輩とともに行く飲み会。形式ばった飲み会と言うよりかは、終業後カジュアルに飲みに行く人たちも多い。飲み会の席では年功序列を重んじた行動をすることが非常に重要である。まずは、周囲に経緯を払いながら、静かに挨拶をしよう。顔見知りではない人が同席していたら、名前を尋ねてコミュニケーションを取ろう。また、あまり親しくない相手に対しては、敬称をつけて「さん」付けで接することも基本だ。このように常に相手を尊重しながら動くことが、後の関係性の構築にも繋がる。
自己紹介が済んだら、席に着こう。「下座」と呼ばれる、入り口に最も近い席に座るのがマナー。ここは序列の低い人が座る席だ。くれぐれも、入り口から離れた奥の席には座らないように。ここは「上座」と呼ばれ、序列の高い人物が座る席とされている。
1杯目の前には「乾杯!」
英語では「cheers」、フランス語では「santé」、そして中国語では「干杯(ガンベイ)」といったように、文化や言語に応じてお酒を飲み始めるにあたって異なる慣習を持つ。
日本では、一杯目の酒は自分で注がない。誰かがグラスを満たしてくれるのを待つのが大切だ。そして、全員にお酒が行き渡るまで待ち、グラスに口をつける前に「乾杯!」の音頭で飲み始めるのだ。
グラスは、上司や年長者よりも低い位置で持ち、乾杯すること。こうした些細なマナーが相手への敬意として、よりよい関係性を築く第一歩となる。
周囲への気配りを忘れずに!
お酒は少しずつ、適度なペースで飲むことを忘れずに。一杯目を飲み干したら、周囲のグラスに目を配ろう。もしグラスが空になっている人がいたら、何を飲むかを尋ねて注いであげよう。また自分のグラスが空になっても、誰かが飲み物が欲しいかと尋ねてくるまで待とう。上司や年長者の前で手酌をするのは、あまりにもくだけた行為だと見なされる。
周囲の人にお酒を注ぐときには、両手でボトルを持つこと。その際、ボトルのラベルは上向きに、また左手でラベルの中央あたりを支えるように持とう。注いでもらう側は、グラスをやや傾けて注ぎやすいように配慮をすることも大切。また相手が注ぐ構えをしたら、一度断るフリをしてから注いでもらうことも大事な慣習のひとつ。奥ゆかしさを重んじる日本ならではのマナーだ。
飲みの席では、できるだけ多くの人と会話する機会を作ろう。例えば、海外から日本へ仕事に来ていたら、日本に来た理由から広がる話題もあるだろうし、出身地などそれぞれのパーソナルな話をしても盛り上がることだろう。もし日本語があまり上手でなくとも日本人は助けてくれるし、英語がわからない日本人にとっては英語を学ぶきっかけになるかもしれないので、臆せず話をしてみよう。
帰る際のマナー
飲み会を抜ける際にもマナーを守ることが大切。幹事または上司がお開きの合図を取ったら飲み会の終わりのサインだ。会が終わる前に帰ろうとすると目立ってしまう上に、会計にも手間をかけてしまう。どこの国でも、支払いをせずに帰る人は好まれないのは当然。どうしても先に帰らなければいけない場合は、幹事に事前に支払いを済ませてもらいたい旨を伝えておこう。
楽しい会を終えたら、使用したグラスや食器をきれいにまとめ、同席した人たちに感謝の気持ちを伝えよう。また、忘れ物にも気をつけること。何か忘れて取りに帰るほど面倒なことはないのだから。
こうして常に周囲に気を配らねばならず、独特のマナーも多様に存在する日本の飲み会。基本的に日本人には親切な人が多いので、日本文化を尊重する姿勢さえ見せれば、心配ご無用。たとえそれが完璧でなくとも、十分に理解してくれるはず。周りに気遣って行動することは、もちろん日本社会には欠かせないことだが、とにかくリラックスをして、楽しみながら異文化に親しむことが大切だ。
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