これさえあれば、何杯だって食べられる。日本人なら誰しも、そんな「ごはんのおとも」を一つは持っている……。でも実は、外国人にだって“オン・ザ・ライス”へのこだわりがあるらしいですよ!
なんと白米そのものの味が薄いということで、調味料を直接かけて食べる人もいるとか。味のバリエーションが豊富な日本の「ごはんのおとも」に興味を抱くのは、自然な流れかもしれません。
そこで、今回は日本に住む外国人17人を対象に「外国人が好きな・嫌いなごはんのおとも」についてのアンケート調査を実施してみました。その意外な結果はいかに!?
■世界的に「海苔」が認められていた!
今回聞いた外国人の大多数が「好きなごはんのおとも」に挙げた人気No.1は、「海苔」でした! 世界各地の寿司人気に乗って、認知されつつある海苔。一昔前は「黒い海苔が不気味」だからと酢飯の中に海苔を巻いてカリフォルニアロールが生まれたというのは有名ですが、評価がここまで高いとは正直なところ驚きです。どんなところが好きなのか聞いてみたところ……。
「味がついている海苔はしょっぱすぎなくて、ごはんのおともにはちょうどいいです」(20代/女性/台湾)
「食べたあとに口の中に味が残らず、さっぱりしているからご飯に合います」(40代/男性/イギリス)
「日本の伝統料理だし、食べるのも難しくない」(20代/男性/フランス)
「とてもヘルシーで、味も大好き。さくさくした食感もいい!」(20代/女性/ドイツ)
実をいうと、海苔が世界的に認められるようになってきたのは本当に最近の話。それまでは、学術ジャーナル『Nature(ネイチャー)』が以前に発表した「日本人は遺伝子の関係で他国の人より海苔を消化しやすい」という説もあり、多くの外国ではあまり馴染みがない食材でした。
どうやら、ヘルシー食品として若い女性や菜食主義者を中心に、ムーブメントが生まれつつあるようです。
■納豆への苦手意識が克服されつつある?
さらに意外なことに、好きなごはんのおともに「納豆」を挙げる外国人も予想より多くいました。以前は「臭い!」「腐った豆を食べるなんて!」と全く理解されることがなかった、外国人が苦手な日本食ナンバーワンだったはずなのですが……。
「ヘルシーで、体に優しい日本食なので好き」(40代/男性/アメリカ)
「納豆は栄養が豊富と聞いたことがあります。健康的でいいですよね。積極的に食事に摂り入れたい」(20代/男性/韓国)
「納豆と焼き海苔のある朝ごはんなら最高!」(50代/男性/アメリカ)
これはどうやら、近年海外でも健康効果の高さが話題になっている、発酵食品ブームが原因のよう。納豆以外にも、同じ発酵食品である漬物を挙げている人もいました。先ほどの海苔といい、ここ2、3年で外国人の好きな日本食の傾向がかなり変わってきているようですね。
また、こんな意見も。
「納豆はよく食べます。妻の弟は、キムチと納豆を混ぜて食べていて、それもおいしいと思います」(30代/男性/韓国)
「納豆は大好き!ごはんのおともにもいいけど、僕はトーストに乗せて食べているよ。チーズを乗せて焼くとグッド!」(20代/男性/アメリカ)
日本に長年住んでいる人は、馴染み深い食のアレンジを楽しんでいることも珍しくないようです。
■その発想はなかった!面白い少数派の意見
また、独特なごはんのおともを挙げてくれた人もいました。
「マヨネーズに鶏肉を和えた特製ソース!フランスでは、フライドポテトにディップして食べていたよ」(20代/男性/フランス)
マヨネーズごはんは日本でも市民権を得ていますが、このアレンジはなんともおいしそうです!
「わさび。ご飯に少し乗せると良いスパイスになる」(30代/女性/台湾)
いや、もちろんお寿司にわさびは付きものですし、お茶漬けにも欠かせない日本を代表する調味料ではあるのですが……。醤油やカツオブシなどもなく、わさびの辛みのみで白米を食べるって……斬新すぎます!
そしてなんと、「ごはんのおともはいらない!」という、まさかの回答をした外国人が!
「ご飯を食べるときは白米にかぎる!」(20代/女性/カナダ)
白米が大好きなんでしょうね……。ちなみに彼女の「嫌いなごはんのおとも」のアンケート回答は、「All of them. 」でした! ごはんのおとも全否定とは……その発想はなかった!
■「すっぱい」味は、ごはんのおともに不適格!?
さて、逆に外国人が「これは嫌い」と挙げた「ごはんのおとも」ですが……。日本の伝統食「梅干し」がダントツの一位でした。
「梅干しはご飯と一緒に食べられないです」(30代/女性/台湾)
「ダメです。味が……。一生食べなくてもいいと思うくらい苦手です。韓国料理とは違うすっぱさですね」(30代/男性/韓国)
「梅干しは好きじゃない!すっぱすぎる!」(30代/女性/アメリカ)
「本当にすっぱくて飲み込めない。どうして日本人の大多数が食べられるのか分からない……」(20代/女性/アメリカ)
日本人にとって、おにぎりの大定番でもある梅干し。酸っぱさと白米の甘みとのマリアージュは最高だと日本人としては思うのですが……。発酵食品ブームの中でも、極端に酸っぱいあの味はなかなか受け入れ難いのかもしれません。
しかし中には、だいぶツウな意見が飛び出してくる人も。
「日本に住んでいるうちに梅干しは好きになりました。でも、好きなのはハチミツ入りだけ。しそが入っているのはあんまり……」(40代/男性/アメリカ)
ハニーテイストに慣れているアメリカ人は、梅干しでもハチミツ入りがお好みのよう。数多ある種類を食べ比べてみたら、お気に入りの味を見つけてもらえるかもしれませんね!
■「ネバネバ食感」がNGも多い
また、納豆に対しては、まだ苦手意識が強い人もいました。さらに、ネバネバした食感の食べ物は全般的に苦手だという意見を出してきた人も。
「ネバネバしすぎているものはどうしても苦手。たとえば、山芋、オクラ、もずくなどです」(40代/男性/アメリカ)
納豆嫌いが多い一因も、匂いと同時にこの食感問題があるのではないでしょうか。しかし、あのネバネバこそが魅力ともいえるので、克服するのはちょっと難しそう!?
■嫌いなごはんのおともは「ない」という意見も。
そして番外編。「ごはんのおとも」が大好きという日本食愛に溢れまくった方の意見がこちらです。
「あらゆる日本食は白米に合うと思うから、嫌いなものはありません」(50代/男性/アメリカ)
日本の食べ物は何もかもおいしい……そう言ってもらえるのって本当に嬉しいですよね。さらに、これもまたちょっと変わった意見。
「苦手なのは、肉じゃがとかしぐれ煮とか、重たいお肉料理。なぜなら、白米とお肉は食べる量が多くなりすぎるしヘルシーじゃないから」(20代/男性/フランス)
確かにカロリーの問題を考えると、その意見は真っ当かも。でも、しぐれ煮は量さえセーブすればヘルシーに食べられるのでは……。止まらないほど美味しいってことなのでしょうか?
「和食」という言葉が、ユネスコ無形文化遺産に登録されたのが2013年。そこから確実に、外国人の日本食へのアプローチが変わってきたような気がします。数十年前なら眉をひそめるレベルで多くから嫌われていた納豆や海苔が、外国人の間にもじわじわと定着しているなんて誰が予測できたでしょうか。今後も外国人の「ごはんのおとも」の好みはどんどん広がっていきそうな予感です。
※ 本記事は初掲出時の内容を再編集したものです
1979年生まれの熟女ライター。日大芸術学部放送学科卒業後、映像技術者・メーカー広報・WEBサイト編集長を経て、2015年よりフリーとして活動を始める。好きな食べ物はプリン体を含む食べもの全般。卵の黄身だけは世の中で唯一食べられない。
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