2018年9月6日未明に発生した「北海道胆振東部地震」。震度6強の大きな揺れに見舞われ、被災地域の中でも被害の大きかったむかわ町で、北海道の秋の風物詩として親しまれている「鵡川ししゃもまつり」が開かれました(北海道胆振東部地震の最大震度は7)。例年は10月に1日限りで開かれていますが、今年は震災復興イベントとして11月3日・4日の2日間に規模を拡大して開催し、大いに賑わいました。その模様をレポートします。
想像を上回る賑わい!街に人の笑顔が戻る
「北海道胆振東部地震」から2ヶ月。震源にほど近く、被害も大きかったむかわ町で、「鵡川ししゃもまつり」が開催されました。毎年晩秋に行われ、新鮮なししゃもを使ったグルメを目当てに多くの人が訪れる人気のイベント。今年はその開催を危ぶむ声も聞かれましたが、経済産業省北海道経済産業局を始め多くの後押しもあり、震災復興イベントとして2日間に規模を拡大して開催されました。
澄み渡る秋晴れに恵まれた初日、会場となった鵡川中央小学校のグラウンドには名物のししゃも料理を販売する「ウェルカムブース」を始め、多彩なグルメが味わえるブースが登場。11時の開場直後から多くの人々が詰めかけ、各ブースには長蛇の列ができました。
本物のししゃもは上品な脂が乗っていて美味!
来場者のお目当ては何と言っても、むかわ町名物のししゃも料理。ししゃもはむかわ町周辺から釧路周辺までの北海道東部の太平洋側のみでしか水揚げされない日本の固有種。ブースでは雄が3尾セットになった焼きししゃもやししゃも汁など4種のメニューを販売。本来のししゃもは身が淡白、脂が程よく乗り実に上品な味わいで、行列に並んででも食べたくなるおいしさです。初日は14時頃には用意したししゃも7000尾が完売するほどの大盛況でした。
ししゃも料理の他に、平取町(びらとりちょう)や厚真町(あつまちょう)など被災地周辺の7市町村のご当地グルメを扱ったブースも出店。びらとり和牛の串焼きや占冠村(しむかっぷむら)の鹿肉を使ったピザなど、各地域の自慢の味が来場者の舌を喜ばせました。またブースの一角では、今回のイベントに駆けつけたタレントの田中義剛さんが営む「花畑牧場」も出店。田中さん自ら店先に立ち、地元住民に豚丼を無料で振る舞いました。また一般向けにも数量限定で販売し、その売上金はむかわ町に全額寄付されたそうです。
まつりを彩るさまざまな催しと盛大な花火
初日の13時からは会場内の特設ステージで、タレント・アーティストによるライブがスタート。田中義剛さん、岡井千聖さんのMCの元、堀内孝雄さん、杉田二郎さん、因幡晃さんらが往年の名曲を披露。また急遽、森高千里さんも会場に駆けつけ、ステージに花を添えました。
その後はお笑い芸人によるエンターテイメントショー、安平町を拠点に活躍する和太鼓奏者・田村幸崇さんによる和太鼓演奏と続き、初日のフィナーレは800発の花火がむかわ町の夜空を彩りました。
スタンプラリー企画で、むかわ町内をぶらり
イベントでは、訪れた人々にむかわ町をもっと知ってもらうため、むかわ町観光協会と北海道経済産業局主催で町内を散策する「スタンプラリー」も開催されました。会場に出店していなかった名物ししゃも寿司などが味わえる町内の飲食店等10店が参加したこともあり、多くの人々が町内ぶらり旅を楽しみ、むかわ町を満喫しているようでした。
今回のまつりの運営を担当したむかわ町観光協会の荒舘事務局長は「生活の再建は着実に進んできている。大いに盛り上がった今回の祭りをきっかけに、本格的な復興へとみんなの気持ちもスタートを切れたら」と、イベントの成功に手応えを感じていたようでした。
これまでのししゃも料理の販売のみならず、ステージ有り、スタンプラリー有り、花火有りと盛りだくさんの内容で2日間に渡って行われた今回の「鵡川ししゃもまつり」。来場者は両日合わせて2万人を超えるなど、例年以上の盛り上がりを見せました。まつりを通して感じたのは、運営のサポートにあたった鵡川高校の生徒たちやスタンプラリーに協賛した商店街の方々など、町民が一体となって地域を盛り上げようというパワー。この勢いで復興が進み、以前にも増した魅力いっぱいのむかわ地域になっていくイメージが膨らみます。
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