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函館や松前以外にも見どころがいっぱい!道南エリアガイド

函館や松前以外にも見どころがいっぱい!道南エリアガイド

公開日: 2024/10/17

北海道の南西部に位置する道南エリア。中心地である函館や、江戸時代の城趾の残る松前が観光地として人気ですが、それ以外の地域も魅力がいっぱいです。風光明媚な自然景観、太古からの歴史ロマンや、海産物をはじめとするグルメなど、道南ならではの体験ができます。この記事では、函館市中心部から90分以内で行ける範囲で、ぜひ体験してほしいモノ・コトを紹介します。

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目次
  1. 道南エリアってどんな場所?
  2. 道南エリア観光でやるべきこと
  3. 道南の旅を効率よく楽しむポイント
  4. 道南をじっくり旅してみよう

道南エリアってどんな場所?

道南エリアってどんな場所?

北海道の南西部、本州に向けて突き出ている渡島半島(おしまはんとう)が道南エリアです。三方を海に囲まれ、北海道の中では温暖で年間の寒暖差が小さく、積雪が少ない地域となっています。

エリアの中心地・函館は、札幌旭川に次いで北海道で3番目に人口の多い都市です。幕末〜明治期の史跡が多く残り、異国ロマン漂う函館は、北海道の人気観光地の一つでもあります。

しかし、道南観光を函館の中心部だけで終えてしまうのはもったいないのです。函館市の北東部である南茅部(みなみかやべ)地区では、国宝指定された中空土偶(ちゅうくうどぐう)が出土しました。中空土偶とは、中が空洞に作られている土偶のことで、これは紀元前3000年頃〜紀元前2000年頃である縄文時代(じょうもんじだい)中期に出現したと言われています。はるか太古からの歴史と人間の営みが残る場として、北海道から津軽海峡を挟んで東北までの縄文遺跡群が2021年に世界遺産に指定され、熱い注目を浴びています。

大沼や北海道駒ケ岳など美しい自然景観に恵まれており、登山やカヌー、サイクリングなど自然と触れ合うアクティビティも盛んです。海産物が豊かなのもエリアの特徴であり、昆布やマグロ、ホタテなどポピュラーなものから「ごっこ」といったこの地方特有の魚介まで幅広く獲れ、ご当地メニューや漁師料理などにより個性的なグルメ体験ができることも魅力です。

道南エリアへのアクセス

札幌から見た道南の入口・長万部町(おしゃまんべちょう)までは車で2時間40分程度ですが、函館までだと4時間半程度と、かなりの移動時間になります。函館には空港があるため、空路で移動して、そこからレンタカーを借りて周遊するのが最も効率的。鉄路(特急)や高速バスなど移動手段は豊富に揃っているので、旅程や予算に合わせてふさわしい手段を選びましょう。
以下、函館までのアクセスをご紹介します。

◯札幌からのアクセス
  • 【車】
    札幌市内から約4時間30分(札樽自動車道・道央自動車道経由)
  • 【公共交通機関】
    JR:約3時間30分(特急「北斗」を利用の場合)
    バス:約5時間30分(高速はこだて号、函館特急ニュースター号など)
    空路:約40分(札幌丘珠空港〜函館空港)
◯新千歳空港からのアクセス
  • 【車】
    約3時間50分(道央自動車道経由)
  • 【公共交通機関】
    JR:約3時間20分(南千歳駅で特急「北斗」に乗り換えの場合)
    空路:約40分(新千歳空港〜函館空港)

道南エリア観光でやるべきこと

魅力いっぱいの道南エリアですが、18の市町村があり、北の長万部から南の松前までは約190km近くある広大なエリア。一度の旅行で楽しむには工夫が必要です。今回は拠点となる函館市中心部から車で90分以内のエリアで、ぜひ体験すべきことをご紹介します。

道の駅「なないろ・ななえ」で特産品やグルメを味わう

左上:小原のガラナソフト 右上:山川牛熟王コロッケ 左下:王様しいたけコロッケ 右下:りんご農家のプレミアムジュース
左上:小原のガラナソフト 右上:山川牛熟王コロッケ 左下:王様しいたけコロッケ 右下:りんご農家のプレミアムジュース

函館市中心部から約30分】

函館市の北側に隣接する七飯町(ななえちょう)は、自然豊かで、日本で初めて西洋リンゴが栽培されたなど農業の盛んな町です。七飯町で作られる新鮮な野菜や特産品などが集まるのが、道の駅「なないろ・ななえ」です。特に地元北海道の観光・ドライブ客からの支持が高く、道の駅ランキングでは上位常連となっています。

人気の理由の一つが、イートインコーナーで楽しめるグルメの数々。北海道のご当地飲料「コアップガラナ」の製造会社が七飯町にあることから生まれた「なないろ・ななえ」限定の「小原のガラナソフト」、大沼の山川牧場の人気商品「山川牛熟王コロッケ」、七飯町産のリンゴそのままの色と味にこだわり抜いた「りんご農家のプレミアムジュース」などが人気です。海鮮や肉の丼でしっかり食事することも、クレープケーキなどのスイーツでカフェタイムを楽しむこともでき、どの時間帯に訪れても便利なスポットです。

左:七飯のめぐみ(ねぎ醤油、りんごの焼肉のタレ、りんごポン酢、りんごノンオイルドレッシング) 右:函館ななえシードル
左:七飯のめぐみ(ねぎ醤油、りんごの焼肉のタレ、りんごポン酢、りんごノンオイルドレッシング) 右:函館ななえシードル

また、お土産・特産品も、七飯ならではのものが見つかります。特に七飯産のネギとリンゴを使用した調味料セット「七飯のめぐみ」や、七飯産リンゴを100%使用したスパークリングワイン「函館ななえシードル」が人気。施設ではスタッフが翻訳機で言語対応するほか、英語・中国語など12種類の外国語パンフレットがあるのでぜひ利用しましょう。

いつ訪れても楽しいですが、特におすすめなのは地元の農産物が出回る夏季で、特に9月中旬〜10月下旬は七飯町産リンゴが収穫される時期です。

大沼国定公園でアクティビティ体験

大沼国定公園でアクティビティ体験

函館市中心部から約40分】

七飯町の観光名所といえば、大沼国定公園。活火山の北海道駒ケ岳と、その噴火により生まれた大沼・小沼・じゅんさい沼を含む周辺一帯が国定公園に指定されています。

自然豊かなこの地域では、四季折々の美しい景観と、それに親しむ多種多様なアクティビティを楽しむことができます。夏は遊覧船や手漕ぎボート、カヌー体験で湖水に親しむもよし、レンタサイクルやセグウェイで湖や森を巡るもよし。アイスクリームや生キャラメル作りなどのインドア体験もあります。

湖が結氷する1〜3月には、氷上スノーモービルや氷上そりツアー、雪上バナナボートなどで大自然と雪遊びを満喫することができます。氷上ワカサギ釣りや、スノーシューでの散策ツアーなどもあり、体力やアクティブ度に合わせてさまざまな体験を楽しむことも可能です。

北海道駒ケ岳に登る

北海道駒ケ岳に登る

函館市中心部から約50分】

大沼国定公園のシンボルともいえるのが北海道駒ケ岳。馬の背のような独特の形を持った活火山です。大沼からはもちろん、周辺の高台や牧場などからの眺めが美しく、絶景ポイント探しが道南旅行の一つの魅力となっています。

2024年7月現在も山頂の火口部は入山規制がありますが、標高900mまでは期間限定で登山を楽しむこともできます(2024年は6月1日〜10月31日まで)。6合目駐車場までは車でアクセスすることができ、そこから最終地点の「馬ノ背」までは上りで1時間半、下りで1時間程度と、登山初心者でも挑戦しやすい山として愛好家に親しまれています。

登山ゲートが開くのは9:00〜15:00まで。6合目登山口に入山届があるので、必ず記入しましょう。山頂に近づくとともに傾斜が厳しく、険しい道となっていくので、足元はトレッキングシューズで、登山用ストックなどの装備も用意していうのがおすすめです。

6月〜9月までは高山植物の花が、10月にはカラマツの紅葉が山を彩ります。

世界遺産の縄文遺跡を見る

世界遺産の縄文遺跡を見る

函館市中心部から約50分】

北海道〜東北にかけては、紀元前1万3000年から1万年以上の間にわたって、狩猟・採集をしながら定住する文化が生まれました。函館市南茅部地区には、そんな縄文時代の遺跡が95箇所確認されており、そのうち重要史跡である「大船遺跡」「垣ノ島遺跡」の2つは、2021年に世界遺産登録された「北海道・北東北の縄文遺跡群」の構成遺跡です。

そのうち「大船遺跡」は、100棟を超える竪穴住居の跡や墓、貯蔵穴からなる大規模な集落跡遺跡です。竪穴住居とは、地面を直接掘りくぼみを作って床とし、そこに柱を立てて屋根をかけた半地下式の住居のことです。史跡は整備されており、竪穴住居などを再現した「縄文のにわ」や、縄文時代の植生復元を目指した「縄文の森」などを見ることができます。

さらに大船遺跡から車で約10分のところには「函館市縄文文化交流センター」があり、出土品などを見ながら縄文時代について学べるほか、土器づくりなどの体験も可能です。展示の解説には英語表示もあるので、ぜひ立ち寄りましょう。

ツツジと紅葉の名所「恵山(えさん)」に行く

ツツジと紅葉の名所「恵山(えさん)」に行く

函館市中心部から約60分】

函館市の東側、太平洋に突き出す亀田半島の先にある標高618メートルの山「恵山」。現在も噴気を上げる活火山で、車で火口付近まで上ることができます。

恵山の名物は、山裾を真っ赤に染め上げるように咲くエゾヤマツツジ。例年5月上旬ごろから開花し、中旬に見頃を迎えます。ツツジの時期には、麓の恵山つつじ公園を中心に「恵山つつじまつり」が開催され、期間中の日曜日には特設ステージでのイベントや、登山会が行われます。

恵山が赤く染まるのは春だけではありません。秋、10月下旬ごろにはサラサドウダンが紅葉します。真っ赤な山裾から、色とりどりに紅葉する恵山がそびえる眺めもぜひ見ておきたい絶景です。

太平洋に一体化した温泉に入る

太平洋に一体化した温泉に入る

函館市中心部から約65分】

恵山のさらに先、恵山岬の海岸では、なんと海の中に温泉があります!「水無海浜温泉(みずなしかいひんおんせん)」は、恵山の火山の熱源による温泉が海岸に湧き出すところに湯船をつくった、なんとも豪快な温泉。湧き出る湯に海水が混ざることで入浴可能な温度になりますが、満潮になると水没してしまうため、干潮時のみ入浴可能です。函館市Webサイトで入浴可能時間を確認してから行きましょう。

入浴は無料で、水着着用OK。海岸には男女別の脱衣室が設置されています。

なお恵山から周遊する場合、南側の道道635号は未開通のため、西〜北側の国道278号・道道231号を経由する必要があります。

本場の「いかめし」を食べる

本場の「いかめし」を食べる

函館市中心部から約65分】

七飯町の北、北海道駒ケ岳の北東部に位置する森町は、太平洋に面した道南の漁師町の一つです。そんな森町で生まれた名物が阿部商店の「いかめし」。イカの胴にうるち米ともち米を詰めてボイルし、秘伝のタレで味付けした料理で、1941年の誕生以来森駅の駅弁として親しまれてきました。

その人気から、今では北海道各地でもレトルトのいかめしが手に入りますが、森町ではできたてのいかめしを味わうことができます。駅前の「柴田商店」、ローソン富士見店で通年販売しています。

噴火湾のホタテを食べる

画像素材:PIXTA
画像素材:PIXTA

ホタテの名産地・北海道の中でも、オホーツクと並んで有名な産地が噴火湾(ふんかわん)。北海道駒ケ岳の北側に位置する円形の湾に面する森町や八雲町では、ホタテの養殖が盛んに行われています。森町や八雲町はもちろん、道南のさまざまな町で、ホタテやその料理を楽しむことができます。

冷蔵・冷凍や輸送の技術が上がり、年中おいしく食べられる養殖ホタテですが、旬の時期があります。北海道駒ケ岳の雪解け水が注ぎ込む春は、麓の森林からたっぷりと栄養が海に注ぎ込み、ホタテを大きく育てます。

道南の銘酒を味わう

画像素材:PIXTA
画像素材:PIXTA

道南ではさまざまな酒造りが盛んです。ワインを通して、このエリアはぶどうの栽培適地としても注目を浴び、本場フランスからワイナリーが進出するというニュースもあります。盛り上がりを見せるクラフトビールも、函館や七飯町、乙部町(おとべちょう)などで人気銘柄が生産されています。厚沢部町(あっさぶちょう)では、従来北海道は栽培に適さないとされてきたサツマイモの生産に成功し、本格焼酎の製造も行われています。

中でも注目を浴びるのは日本酒。北海道産の酒造好適米が普及し、道産酒が評価を高める中酒蔵再興の動きが高まり、2020年に道南では84年ぶりとなる新酒蔵が七飯町に誕生。2022年には函館市内で54年ぶりとなる酒蔵が開設しました。酒屋や土産物店でも購入できますが、酒蔵併設のショップでは試飲しながら購入できるので、ぜひ訪れてみてください。

道南のまちのお祭りを見る

姥神大神宮渡御祭
姥神大神宮渡御祭

道南のまちでは、個性的な祭りやイベントを楽しむことができます。

380年の伝統が続く、北海道を代表するお祭りが、函館市から車で約90分の江差町(えさしちょう)で行われる「姥神大神宮渡御祭(うばがみだいじんぐうとぎょさい)」。毎年8月9日〜11日の3日間、豪華絢爛な山車13台が巡行します。漁師町である江差町で、豊作・豊漁・無病息災を祈って執り行われる祭りです。

大沼国定公園では、夏冬に大きなイベントが行われます。毎年7月に行われる「大沼湖水まつり」では、湖にたくさんの灯籠が浮かべられ、花火大会も行われます。また、冬の2月に行われる「大沼函館雪と氷の祭典」では、結氷した大沼の氷で滑り台が作られ、雪像や氷像を見ることもできます。

ほかにも北海道三大あんどん祭りに数えられる八雲町の「八雲山車行列」、海の生き物と触れ合える鹿部町の「しかべ海と温泉(いでゆ)のまつり」など、伝統的なものから変わり種までさまざまなイベントがあります。旅行時期が合ったら、ぜひ体験してみましょう。

道南の旅を効率よく楽しむポイント

広い道南エリアを巡る際は、効率良く移動をしたいもの。札幌・新千歳空港側からアクセスするか、函館市内からアクセスするかの大きく2通りの方法がありますが、どちらにしてもなるべく行ったり来たりせず、一筆書きになるように旅程を組みたいものです。宿が多いのは函館ですが、大沼と江差にも多いので、北側を観光するなら大沼、西側を観光するなら江差というように、函館以外の場所に泊まる方が便利なこともあります。

JRからは「道南フリーパス」が発売されており、札幌・新千歳空港から小樽登別・室蘭を経由し、長万部から函館までの区間がフリーエリアとなっています。エリア内の特急・快速・普通列車指定席・自由席が乗り放題となるので、鉄路の通っている長万部・八雲町・森町・七飯町・北斗市・函館市の周遊に便利です。それ以外の地域は、公共交通機関ならばバスでのアクセスになりますが、本数が限られるのでレンタカーで周遊するのがおすすめです。

道南をじっくり旅してみよう

画像素材:PIXTA
画像素材:PIXTA

道南エリアは範囲は広いですが、それぞれの町が個性的。歴史を学んだり、自然の中で遊んだり、海や海産物を楽しんだり、道南エリアの周遊ではさまざまな体験ができます。特にグルメは、酒の生産地として注目を集める中、さまざまなお酒と名産の食べ物のマリアージュを提案する動きが盛んになってきており、上質な体験ができる地域です。

道南エリアは道内では比較的積雪が少ないので、北海道の中では冬にも旅行しやすい地域といえます。雪が少ないといっても、スキーや雪を楽しむアクティビティはしっかり楽しめるのでご安心を。四季それぞれに魅力ある道南は、リピートしても異なる魅力を楽しめることでしょう!

Written by:
株式会社みんなのことば舎
株式会社みんなのことば舎

札幌の地元タウン誌の編集に長年携わった編集者が設立。設立以降、20年以上にわたり、札幌を中心に北海道全域での取材・記事執筆を行い、観光ガイドや情報誌、北海道の景色を収めた写真集など多様な本も制作。スタッフは全員女性で、旅好き、スイーツ好き、お酒好きと趣向は様々。飲食店紹介からイベントレポート、レジャー体験記まで、発信の守備範囲は広い。

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