HOME 東北 秋田 秋田近郊 東北の小京都「角館」の見どころ徹底紹介!武家屋敷や枝垂桜、レトロな町並みも必見
東北の小京都「角館」の見どころ徹底紹介!武家屋敷や枝垂桜、レトロな町並みも必見

東北の小京都「角館」の見どころ徹底紹介!武家屋敷や枝垂桜、レトロな町並みも必見

更新日: 2024/02/20

東京から新幹線1本で行ける秋田県の角館町。東北地方の「小京都」と呼ばれ、歴史ある日本らしい町並みが今も残ります。中でも、重厚な武家屋敷とシダレザクラの美しい景色を見に、日本国内からも多くの観光客が訪れます。今回は筆者が実際に角館をまわってきたので、歴史やアクセス方法、町内で行くべきスポット、四季の魅力など、角館を訪れる前に知りたい情報をお伝えします。

角館とはどんな場所?

角館とはどんな場所?

角館は日本の東北地方にある秋田県仙北市の町で、秋田市と岩手県盛岡市の間に位置しています。三方が山に囲まれ、南が仙北平野に開けている恵まれた立地から、1620年に角館地方を領していた芦名義勝によって町が造られました。

町の中央に防火用の空き地である「火除け」が設けられ、火除けを中心に北側の武家町(内町)と南側の町人町(外町)で分断されています。

芦名氏の跡取りが途絶えた後は、秋田を統治した佐竹氏の一族である佐竹北家(さたけきたけ)の城下町として発展。佐竹北家の統治後も角館の景観は守られ続け、特に武家町は道路の幅や曲がり角まで何一つ変わることなく当時の雰囲気が残されています。

秋田県の角館へ行くには?東京からのアクセス

秋田県の角館へ行くには?東京からのアクセス

東京から角館へ行くには、秋田新幹線が最も便利です。JR東京駅または上野駅から秋田新幹線に乗り、角館駅で下車します。乗車約3時間で乗り換え不要です。秋田新幹線は全席指定席で自由席はありません。JRが5日間20,000円で乗り降りし放題となるJR EAST PASS (Tohoku area)のエリア内のため、パスを使って行くのが断然お得です。

東京から角館へ行く高速バスは羽後交通のレイク&ポート号(田沢湖~東京~新宿)があり、2024年の運行日は3月1日(土)~5月5日(日)間の毎週金・土・日、4月26日(金)~29日(月・祝)および、5月2日(木)~5日(日)は毎日運行予定。これ以降のスケジュールは公式サイトで随時発表があります。料金は8,600~10,600円で、時期によって異なります。新宿駅21時50分発または東京駅22時半発、角館営業所翌日7時25分着で、約9時間の運行時間です。飛行機を利用する場合は、羽田空港(東京国際空港)から秋田空港行きの便を利用し、秋田新幹線で秋田駅から角館駅まで行きます。

春には武家屋敷通りのシダレザクラは必見!

春には武家屋敷通りのシダレザクラは必見!

武家屋敷通りが見どころで、「みちのく(北東北の一部エリアを指す古典語)の小京都」と呼ばれる角館。この町の魅力を語るうえで欠かせないのが、武家屋敷のシダレザクラです。角館のシダレザクラは約400本あり、162本が日本の天然記念物に指定。中には樹齢300年を超えるものも!武家屋敷通りの黒板塀に淡い桜色が良く映えて、重厚な町並みを華やかに彩ります。

武家屋敷通りを歩くだけではなく、武家屋敷内もぜひ見学してみましょう。武家町は当時の建築様式が今も保存され、一部の屋敷は一般公開されています。

筆者が体験!角館駅から武家屋敷通りまでの角館の歩き方

筆者が体験!角館駅から武家屋敷通りまでの角館の歩き方

それでは早速、角館を巡る旅に出発です!今回訪れたのは日本の真冬となる2月中旬。角館は秋田県内でも雪が多い地域で、2m近くの雪が積もります。雪に包まれた冬の角館も圧巻の美しさ。

夏季の写真(提供:角館駅前蔵)
夏季の写真(提供:角館駅前蔵)

角館駅に到着したら、まずは徒歩すぐの「角館駅前蔵」へ立ち寄るのがおすすめ。ここは蔵づくりの観光案内所で、観光パンフレットの配布、市内のおすすめの場所の案内を行っています。パンフレットは英語、中国語、韓国語と、多言語で揃っています。

内部は天井が高く、「角館祭りのやま行事」で使われる武者人形が飾られています。休憩スペースや自動販売機があるので、電車の待ち合わせやちょっとした休憩にも使えます。

角館駅下車後、武家屋敷の内町まで徒歩約15分。道の途中には案内があるので迷わないはず。歩きにくい道はないため街並みを眺めながら歩いて向かうのがおすすめですが、駅前からタクシーに乗ることもできます。冬は雪の多さに圧倒!

駅から歩き、少しずつ古い建物や大きな蔵が出てきたら、外町地区に到着です。外町は町人町で天然記念物のシダレザクラもたくさんあり、当時の町民の生活を感じさせる施設が多く残ります。驚くのは2階まで到達する雪の量!

たてつ家・外町史料館は、「角館桜皮細工センター」として秋田の木工・民芸品を扱う土産店ですが、奥へ進むとなんと建物の中に蔵を発見!この「内蔵」を開放し、現在は「外町史料館 たてつ」として所蔵品や生活用品を公開しています。建物の中に蔵があるのは雪で埋もれないようにするため。家宝や商売道具、仕入れ品を保管するのに利用されていました。豪雪地帯ならではの工夫で、角館以外にも隣の横手市増田地区にも内蔵を持つ商家が多く残っています。

夏季の写真(提供:Akita Prefecture Tourism Promotion Division)
夏季の写真(提供:Akita Prefecture Tourism Promotion Division)

外町のお土産を買うなら、安藤家へ立ち寄ることもお忘れなく。1853年創業の老舗味噌醤油醸造元で、東北最古のレンガ蔵が今も残ります。1883年に再建した本店は今も使われ、当時の趣を感じられます。日本料理に欠かせない味噌や醤油、歴史ある建築物を眺めながら気になるものを選んでみましょう。

外町を散策したら、武家屋敷通りのメインストリートともいえる内町へ。外町と隣接しているので、内町の中心地には5分もかからず辿り着けます。シダレザクラや背の高い木々が通り沿いに植えられ、家と家の間にもゆとりがあり、外町とは雰囲気が変わります。

内町で現在公開されている家は限られていますが、非公開の家も敷地内に入らず門の外から眺めることは可能です。厳かな門とその奥にある立派な家を眺めれば、当時の武士たちの生活をイメージできるはず。門に雪が積もる様子は絵になります。

冬の角館武家屋敷は、黒壁に真っ白な雪がよく映え、春とはまるで違う景色が広がります。しんと静まる通りにちらちらと雪が舞う様は神秘的です。

雪にすっぽり埋もれた日本家屋を見る機会は都心部ではめったにないので貴重!花のついていないシダレザクラも、日本画のような佇まい。

武家屋敷通りを代表する家のひとつが青柳家です。佐竹氏の忠実な家臣として仕えた家柄です。見学料は500円で、入口で支払って入場できます。

夏季の写真(提供:Akita Prefecture Tourism Promotion Division)
夏季の写真(提供:Akita Prefecture Tourism Promotion Division)

青柳家は3,000坪の敷地面積を誇り、母屋、武器庫、秋田郷土館、武家道具館、ハイカラ館などがあり見ごたえたっぷりです。各屋敷には100年以上前の郷土品や写真が飾られ、コレクションの多さに思わず驚くはず。

そのほか武家屋敷通りで見学ができるのは、佐竹北家の用心を勤めた家柄の石黒家、同じく佐竹北家に仕えた河原田家など。入場料が必要なところがほとんどですが、その分、細部まで丁寧に手入れされた美しい日本家屋を見学できるので満足できるに違いありません。

内町では古民家を改装した飲食店がいくつかあり、休憩に最適。秋田県産の比内地鶏をふんだんに使った「元祖比内地鶏親子丼」が名物の「お食事処 桜の里」、角館の名物のお豆腐など郷土料理をふるまう「料亭 稲穂」など、秋田県ならではの料理を扱うお店が多くあるのが特徴です。

内町だけではなく外町にも飲食店は多くあり、中でもおすすめは「フルーツパーラー角館 さかい屋」。青果店が経営するフルーツパーラーで、東北産の果物だけではなく、全国からその時旬の果物を仕入れてパフェやソフトクリームを提供しています。

4月下旬~5月上旬の桜の季節であれば、武家屋敷通りから徒歩圏内の桧木内川(ひのきないがわ)も訪れてみるのがおすすめです。ここは桜の名所で、およそ2kmにわたり川沿いにソメイヨシノが植えられ、ゆるやかなカーブを描いた桜並木が続きます。国指定名勝、日本さくら名所100選(武家屋敷とともに)にも選出。武家屋敷通りのシダレザクラとは趣の異なる桜の風景を楽しめます。

春夏秋冬、角館の四季の魅力

春夏秋冬、角館の四季の魅力

春はなんといっても桜が魅力です。武家屋敷通りにはシダレザクラ、桧木内川堤にはソメイヨシノが咲き乱れます。毎年4月下旬からGWにかけて角館の桜まつりが開催され、物産展やスタンプラリーなどのイベントが目白押し。まつりの期間中のみ夜桜ライトアップが行われ、武家屋敷通りと桧木内川堤がロマンティックな雰囲気に包まれます。

夏は桜の木が青々と茂り、春とは一味違う風情が感じられます。毎年8月15日には、木製の楽器「ささら」を鳴らしながら悪霊退散のために踊る「ささら舞」が各地で行われます。

秋の角館は紅葉一色。武家屋敷通りも赤や橙の紅葉に彩られ、黒板塀とのコントラストが鮮やかです。毎年9月7~9日には「角館祭りのやま行事」が開催。武者人形やお囃子、踊り手たちを載せた曳山が、商売繁盛や無病息災を願って曳かれます。

豪雪地帯の角館は、冬になると辺り一面が雪景色に様変わり。シダレザクラに雪が積もり、黒板塀も雪に埋もれます。足元が滑りやすいので、冬に角館を訪れるなら歩きやすい靴で行くこと。もしも雪道を歩くのが心配なら、仙北市観光情報センター「角館駅前蔵」で長靴を貸してくれます。

毎年2月14日、角館の各所で小正月行事「火振りかまくら」を実施。縄を付けた炭俵に火をつけて、体ごと勢いよく振り回します。闇夜に浮かぶ火の輪がとても幻想的です。

角館周辺の観光地

角館周辺の観光地

角館と同じ仙北市内の観光名所といえば、田沢湖は外せません。水深423.4mと日本一深いカルデラ湖で、太陽の反射によってコバルトブルーの湖面が広がります。角館から田沢湖へはJR田沢湖線で田沢湖駅まで約20分、路線バスで約15分乗車すると田沢湖畔に到着です。

かまくらで知られる横手も角館からアクセスしやすい観光地です。横手はかまくら祭りのほか、横手城址に建つ横手公園展望台、横手市増田まんが美術館などの観光名所も多く、目玉焼きが乗った「横手やきそば」の発祥地でもあります。角館から横手へは秋田新幹線で大曲駅へ行き、JR奥羽本線に乗り換えて横手駅へ向かいます。所要時間40分ほど。

角館周辺の宿泊施設

新幹線が停まる角館は、田沢湖や横手観光の拠点にもなる街。角館の宿泊施設を紹介します。

春夏秋冬で美しい角館へ!

春夏秋冬で美しい角館へ!

黒板塀とシダレザクラが美しい武家屋敷通りをはじめ、桜並木や紅葉、お祭りなど春夏秋冬いつ訪れても美しい景色を堪能できる秋田県の角館。東京からも新幹線一本でアクセスが良いので、東京から足をのばして観光をしたいならぜひ訪れてみてくださいね。

※本記事の情報は2023年4月時点のものを2024年3月に一部更新しています。最新の情報とは異なる場合がありますので、それぞれ公式サイト等でご確認ください。

Written by:

田中ラン

田中ラン

旅行会社に勤める現役会社員の日本人ライター。大手ウェブサイトで編集者として従事した後、旅行会社に転職。そのため、旅行系・グルメ系のジャンルを得意とし、日本全国47都道府県で取材実績あり。旅行会社勤務だからこそ知れる秘境や絶景、旅の裏ワザを伝えながら日々取材に奔走している。

※記事掲載時の情報です。
※価格やメニュー内容は変更になる場合があります。
※特記以外すべて税込み価格です。

この記事をシェアする

 
検索