豪德寺

豪德寺

更新日: 2020/09/29

東京都世田谷区にある豪德寺は、「招き猫」の発祥の地とされる寺。招き猫とは、座って前足で手招きするようなポーズを取った猫の置物のことで、猫好きの間ではもちろん、縁起物としても世界中で人気がある。招き猫にも様々な種類があり、左手をあげた猫もあるが、豪德寺の招き猫は全て右手をあげている。

17世紀初頭のこと、2代目近江彦根藩主だった井伊直孝が豪德寺の前を通りかかった。すると寺の飼い猫が手招きするようなしぐさをするので、寺に立ち寄ったところ突然の雷雨が。猫のおかげで雷雨をまぬがれた直孝は、感謝を込めてこの寺を井伊氏の菩提寺としたという伝承が残っている。また寺の名称も、直孝の死後にその戒名「久昌院殿豪德天英大居士」にちなんで「豪德寺」と改められた。

豪德寺を高名な寺として知らしめた猫は、「招福観音」「招福観世音菩薩」として神格化された。さらに後の世になると、幸運をもたらす猫として「招福猫児」「招き猫」と呼ばれるようになる。以来、豪德寺には参拝者が寄進した招き猫がぎっしりと置かれるようになった。

東京中心部の喧噪からやや離れた豪德寺は、猫好きはもちろん日本の歴史や分野に興味のある人には最高の観光スポットだ。豪德寺の職員もとても親切。たとえ言葉の壁があっても、英語がわかれば招猫観音の由来について簡単に学ぶことができるので、ぜひこの素晴らしい寺を訪れてみてほしい。

豪德寺では大小さまざまな招き猫が売っているほか、おみくじ(運勢占い)を引くこともできる。おみくじはお寺訪問の楽しみの一つで、いつでも引くことができる。日本語が読めなかったら、寺の職員にサポートを求めてみよう。「大吉」だったか「大凶」だったかなどを教えてくれるはずだ。もし大吉(幸運)だったら、おみくじを持ち帰ろう。また、「大凶」(不運)だったとしても、受付近くの外の木に結ぶことで、不運をそこに残していくことができる。

豪德寺では招き猫を買い、祈りを託して寺に奉納することもできる。もちろん招き猫を持ち帰り、願いが叶うまで手元に置くことも可能だ。そして願いが叶ったら、再び豪德寺を訪れて、感謝とともにその招き猫を寺に奉納することをオススメしたい。

招き猫は寺の一角にぎっしりと置かれている。大小さまざまの白い猫の置物がいっせいに手招きしている光景は、最高の撮影スポットだ。

豪德寺の一番の名物は招き猫だが、ほかにも見所はいっぱい。招き猫やおみくじが売られている場所では、絵馬も購入できる。絵馬とは願いを書き入れる木の板のこと。寺の壁に吊るしておくと、いつしかその願いが叶うと言われている。絵馬に猫が描かれているのも、この寺の特色だ。

寺の裏手には、さまざまな歴史が刻まれた小さな墓地がある。日本の墓地は、あまり言及はされてないが、日本文化の中でも興味深い場所だ。しかし閉ざされている場所も多いため、観光客にはなかなか訪れづらいのも事実。その点、豪德寺は寺にゆかりの深い井伊氏の墓所などを気軽に見学することができる。たとえ墓石の文字が読めなくても、ぜひ訪れてみてほしい。

伝統的な日本建築と優雅な庭園が調和した豪德寺の境内は、美しく静かな空気が流れている。混雑した観光地からもほど近いここは、まさに東京のオアシスであり、日本でしか味わえないユニークな体験ができるスポットだ。

※記事掲載時の情報です。
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