「NO」と言えない日本人

「NO」と言えない日本人

Update: 2017/04/17

日本人が、欧米諸国の人々と比べて控えめでシャイな国民性であることは、世界的にも広く知られている特徴だろう。礼儀や礼節を重んじる日本社会において、「NO」と発することは、人や事柄を問わず容易ではない。日本人は、「NO」という意識が内面に芽生えていても、相手の気持ちを損なわぬよう、行動は同調的であろうとする。決して「NO」と言わない訳ではないが、「NO」と直接的な表現を避けながら伝えるのが日本での慣わしだ。

日本の文化と「NO」を言わない慣習との関連性

日本の文化と「NO」を言わない慣習との関連性

「NO」と言えない日本人の慣習の背景には、元来日本人が日本語の表現に持つ性質による側面が強い。
例えば、友人からご飯やパーティーなどに誘われていて、「NO」と断りを入れる場合、
英語の会話では、
Q: ”You are not coming tonight, right?”「今夜来られないのですよね?」
A: ”No, I’m not coming.”「いいえ、私は行けません。」と、質問に「NO」と答える。

これが、ひとたび日本語の会話となると、
Q: 「今夜来られないのですよね?」
A: 「はい、私は今日行けないのです。」のように、全く同様の質問にも「はい」と答えるのだ。
このように、日本語では、明らかに「NO」の場面でも、会話の形式として「YES」と答えてしまう慣習、「NOとは言わない」文化が既に根付いているのである。

日本と欧米諸国のコミュニケーションの在り方は非常に対照的。欧米諸国では、他人の提案や誘いに対し、各々の意見に忠実に否定的な返答をすることが多く、「NO」という直接表現は日常的に使用される。
例:
A 1: “I don’t think that will work.”「私はそれは無理だと思う」
A 2: “I think this is a bad idea.”「それは良いアイデアではないね」

もちろん、欧米諸国の人々も「相手を思いやって」発言している点は同じ。しかし、日本では直接的な否定表現は、あまり良い印象を与えない。当然、状況に応じて直接「NO」と発する場合もあるが、角を立てず丸く収めようと遠回しな表現を好むのが日本の慣習。はっきり「NO」と言える場面でも、少し興味を示したり、お詫びの表現を加えて、やんわりと「NO」を伝えるのが一般的といえる。

日本文化で「NO」を伝える方法

日本文化で「NO」を伝える方法

日本人は、たとえ友人から誘いを受けた場合にも直接的に「NO」とは言わない。
例:
Q: “I’ll have a party with some of my friends this Friday night. Would you like to join us?”
「今週金曜日、友達とパーティーをする予定なのですが、もし良かったら来ませんか?」
A 1: “Sorry. I’ve got plans on Friday. I will try to make it next time!”
「ごめんなさい。金曜日はちょっと予定があって厳しそう。また誘ってください。」
A 2: “Thanks for the invitation! I will think about it.”
「お誘いありがとうございます。検討させてください。」
A 3: “I have been busy lately. I’ll have to pass on that this time.”
「ちょっと最近忙しくて。今回は見送らせてください。」

時に日本人は、相手の機嫌を損なわぬよう、「実際には興味のない人や事柄に対しても、興味のある態度や素振り」をする。日本においては、いかに「他人を重んじるか」が言動の大前提となるのだ。

しかし、実際に「NO」と言うべき場面が訪れたら、どうしたら良いのか。個々の意思に従順に、状況や場面に応じて、臆せず「NO」を伝える必要がある。

「NO」と伝えたいときには、以下のように、「他を尊重」しながら「お詫び」の気持ちや「興味がある」様子を加え、「NO」を伝える。こうした「相手に悪い印象を与えない心がけ」が日本のコミュニケーションでは大きな鍵を握る。
例:
・すごく楽しそうなのだけど…
・行きたいのはやまやまだけど…
・本当に申し訳ないのだけど…
・ごめんなさい、次回は必ず…

ただし、これらは当然、時と場合を見極める必要がある。日本を旅行中に、街中や電車内など、公衆で不審な人に遭遇したり、身の危険を感じたりすることがあれば、相手を気遣わず真っ先に「NO」と伝えるべきだ。

まとめ

まとめ

日本人は「NO」と言えないのではなく、「漠然とした返答をすることで、穏便に物事を進めたい」のだ。日本は、常に「礼儀」を重んじ「他人」を尊重する文化。常に相手の気持ちを気遣い行動することが美徳とされる。日本では、こうした習慣にならい、状況や場面を良く考え、相手の発する言葉の持つ意味を察して、出来るだけ直接表現を避けて「NO」と伝えてみよう。

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