現代絵画

現代絵画

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伝統芸術もさることながら、日本には豊富で多彩な現代芸術文化がある。漫画やアニメに影響を受けたものから、浮世絵の現代的解釈、複雑なパフォーマンスアート、大胆な彫刻など、進化し続ける日本の現代美術の世界を紹介しよう。

戦後日本における芸術

日本における現代美術のルーツは、第二次世界大戦の始まりから広島への原爆投下、そして米軍による占領期まで、さまざまな歴史的節目によって揺れる戦後の日本に見出すことができる。戦後世代の芸術家のテーマは、戦争やそれによる破壊だけとはいえないが、抵抗や自決をテーマにしたものも多かった。
戦後は伝統技法や美学から完全に背を背ける芸術家もいれば、それらを自己表現に取り入れる芸術家もいた。また、未知のテーマや新たな美学の探求と創造を目指す、数々の前衛芸術運動が起こったのもこの時期だ。
この時代の最も著名な芸術家で、近年欧米でも再評価されている一人に白髪一雄が挙げられる。彼は主に足を、ときには全身を使って強烈な抽象画を描く表現主義の芸術家だ。保守的な古典的芸術から完全に背を背けた彼は、抽象的表現を探求するラジカル芸術運動のグループ「具体美術協会」のメンバーでもある。

漫画とアニメの波動

漫画とアニメの波動

欧米ではときに子どもっぽいものとして軽視される漫画やアニメは、日本の現代芸術において重要な役割を担っている。なお日本の漫画やアニメは前衛芸術運動と時期を同じくして、戦後に体系化されている。戦時中、日本のクリエイターは表現を厳しく規制されていたが、1947年に施行された日本国憲法が「表現の自由」を認めたことをきっかけに、彼らの芸術的創造性がまさに爆発したわけだ。
革新的かつ著名な漫画作品のひとつに、1951年に手塚治虫によって生み出された「鉄腕アトム」が挙げられる。主人公であるアトムは、大日本帝国時代に理想とされていた日本社会とは真逆な存在だった。アトムの強さと優しさは新たな時代の平和主義と思いやりの精神の到来を告げる象徴となり、戦争や帝国主義的プロパガンダに疲弊した日本社会を大いに勇気付けた。
近代漫画の父が手塚治虫だとしたら、漫画「サザエさん」の作者である長谷川町子はまさに母と呼べる存在だ。1946年初出の「サザエさん」は、戦争で家を失った女性・サザエさんが主人公。「女性は従順でおとしやかであるべき」といった古い考えを覆すかのごとく、困難にも元気いっぱい立ち向かう彼女は男女問わず広い世代に親しまれた。

スーパーフラット:日本の現代美術が世界を席巻する!

現代における日本の最も有名な芸術運動のひとつに「スーパーフラット」がある。これは日本の美術媒体の多くが平面的であることから名付けられた名称で、前述した漫画やアニメなどから大きな影響を受けている。このジャンルの創始者は日本のアニメや「カワイイ」文化を大胆に取り入れたポップアートで世界的に著名な村上隆だ。
世界中の画廊で注目を集めているスーパーフラット運動のメンバーには青島千穂、奈良美智、タカノ綾などがいる。世界の展覧会を飛び回る絵画や彫刻、イラスト、デジタルデザインまでもがスーパーフラットの概念の下に創作されている。村上隆は「カイカイキキ」という会社も設立し、スーパーフラットのアーティストのマネージメントから、新たな才能の発掘にも尽力している。

日本の現代美術を目撃しよう

日本には、東京国立近代美術館から、箱根彫刻の森美術館、日本のアーティストの作品やギャラリーが数多く点在する直島をはじめとする瀬戸内海の島々まで、現代美術を専門する多数のギャラリーや美術館が存在する。
ギャラリーや美術館のほかにも、新潟県の「大地の芸術祭 越後妻有アートトリエンナーレ」や、瀬戸内海の複数の島で開催される「瀬戸内国際芸術祭」、群馬県の「中之条ビエンナーレ」など、豊富で多彩な美術フェスティバルが開かれている。これら日本の現代美術にスポットを当てた会場は、作品やアーティストと同様にカラフルでバラエティに富み、そしてとても奥が深い。

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