HOME 中国人通訳ガイドが語る、日本観光で中国人が感じた6つのホンネ
中国人通訳ガイドが語る、日本観光で中国人が感じた6つのホンネ

中国人通訳ガイドが語る、日本観光で中国人が感じた6つのホンネ

更新日: 2020/07/15

訪日旅行に関する情報が行きわたり、リピーターも多くなってきている昨今。日本に対するイメージも、時を経るごとにどんどん変わっていると考えられますよね。特にたくさん来てくれている中国の方の意見は気になりませんか?

そこで、20年以上前に初来日し、現在は毎週2~3組の訪日中国人をアテンド、ビジネスの交渉の場でも活躍するベテラン通訳の晶さんに本音を聞きました。

一番驚くのは日本人の優しさ。昔からやさしさは変わっていない

画像:Shutterstock
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晶さんが最初に驚いたことは、人の優しさ。

「日本だと、売っているときはスカートのプリーツ部分が広がらないように、縫って止めてありますよね。私はそれをまったく知らなかったのです。そして、おろしたてのスカートを着て歩いていたときに女性が声をかけてきて、その糸を切ってくれました。そのころは日本語ができなくて、何を言われているのかわからなかったのですが、なんて親切なんだと感動しました」

今でもアテンドする客から、日本人に親切にしてもらって感動した話は数多く耳にするそうです。

「お客さんから聞いた話で、自分で浅草に行きたくて、近くにいた男性に行き方を聞いたとき、一緒に地下鉄に乗って連れて行ってくれたそうです。浅草まで着くと、その人はそのまま電車で帰っていったそうです。そういう優しさがありますね」

言葉でうまく説明できないのを申し訳なく思い、助けてあげようとそこまでしてくれることに驚いてしまうのだとか。

また、買い物の場面では相手のことを考えたサービスが、中国にはないと新鮮に映るよう。
「雨が降っているときは、買い物の袋にビニールをかけてくれる店があります。あれはとても親切だとおっしゃるお客さんが多いですね。あと、家電屋さんで電化製品など重い物を買ったときに、持ち手をつけてくれますよね。それを見て『日本だなあ』と思うみたいです」

世界的にも有名な街がいくつもあるのに、街には人が少ない!?

画像:Shutterstock
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また、中国からの観光客の中には、日本の繁華街を見て驚く人が少なくないそう。

銀座は日本を代表する繁華街のひとつですが、『人が少ない!』と驚くようです。中国は、昼間から何もしていないでぶらぶらしている人が妙に多いので日中も人で込み合っているのだとか。でも、日本はそういう人をあまり見ませんよね。大きな繁華街は、たいていの場合、地下道も発達しているので、地下にいると説明したりするんですけど(笑)、みんな働いているような時間に人は街に出ていませんよね」

人口が約10分の1とはいえ、これはユニークな驚き。逆に日本人が中国に行ったら「人が多すぎ」と驚くのかもしれません。

さらに中国の都市部では、年々車両の数が増えて渋滞や交通マナーが大きな問題になっていますが、日本では渋滞が少ないと感心するようです。
「都内は素晴らしいですよね。車の数は多いのに、あまりクラクションを鳴らさず静かだし、道路の設計が優れているのと、マナーがいいからではないかとみんな驚きます。中国は少しでもすき間があると割り込みますし、むやみに車線変更するから、渋滞が余計ひどくなるんです」

日本=先進国のイメージは変わらないけど、キャッシュレス化が進んでいない

日本=先進国のイメージは変わらないけど、キャッシュレス化が進んでいない

中国ではどんな場所でもキャッシュレスで買い物ができ、携帯で様々なことができる環境が進んでいるため、日本では、つねに現金が要ることに驚き、不便を感じることもあるそうです。

「前にうどんのチェーン店で、その場で出会った中国人観光客に頼まれて、お金を両替したことがありました。中国より進んだ国に来ているのにと、コンビニなどで小さい買い物をするときには、とくに不便に感じるようです。」

生活面でも文化の違いに驚き

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「ふだん料理をするのは、日本では女性がほとんどというのも驚くみたいです。中国では男性が料理をすることがわりと一般的でなんです」

「着物の試着体験をされた女性が、自分のサイズを気にせずに着物を選べることに驚いていらっしゃいましたね。背丈が違ってもウエストのところで丈を調節できるし、太めでも細めでも同じ着物を選んでもOKなので」

その他、茶道を体験してその奥深さに感激し、日本の若者にはあまり関心もたれていないことに驚いたり残念がったりするとのこと。「お茶は健康にとてもいいのに」という意見は、医食同源の国ならではの感想といえそうです。

ビジネス商談の席でビックリ!

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晶さんが仕事で立ち会うビジネスの場面でも、驚く場面があるとか。

「中国の企業の経営者や、権限を持って商談で来る人たちは全体的に若くて、80年代生まれの30代が中心。年がいっていても40代で、もっとも上で50歳くらいです。それに比べて日本の企業の方々はだいぶ上なので、みんな驚いていますね。傍で見ていても親子ほど、ときにはそれ以上の差があります。中国の定年は、オフィス勤務ならば男性が60歳で女性が55歳。発展している時期やスピードが日本とは違うというのもありますが、とにかく若いんです」

タオルが真っ白でビックリ!

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日本が安全なことや、環境のよさは誰もが感銘を受けるところ。

「案内したツアーのお客さんが目撃した話です。ツアーバスのドライバーさんがバスの車体を拭いていて、拭き終ったときにそのタオルが真っ白だったといって、本当に驚いていて。早速他の人に伝えたら、皆仰天していましたね」

もちろん汚れが気になったから拭いたのだと思いますが、汚れと感じるレベルが違うのだそうです。

「タオルの話と似ていますが、私が日本のきれいさを説明する鉄板ネタがあるんです。『私の車は3年間洗っていない』と言うと、みんな心底驚くんです。日本だと、ガソリンを入れるときにフロントガラスを拭いてくれたり、雨が降るときれいになったりしますよね。だからたまに拭いていれば十分で、洗車の必要は感じません。でも中国だと、雨が降れば降るほど汚れていきますし、きれいに保ちたいなら毎週洗わないといけません。この話はどのお客さんに話しても本当に驚かれます」

そのほか、地方を訪れたときには、無人販売で売られている農作物などに人の良心を感じたり、レストランやファストフードなどで、スマホやPCで席を確保しているのも驚くし、荷物を椅子の背中側に掛けているのにも、リュックを背中にしょって歩いていても注意を払わないでいいことなど(ふだんは斜めがけにしたり、前側に回したりして気をつけているとのこと)、日本は平和で安全な国だと驚いているそうです。

近年の傾向では、アテンドする客層も男性は郊外でゴルフ、その間女性はショッピングと、アクティブに日本を楽しんでいる人が多く、ビジネス滞在であっても、わずかなフリータイムに観光を楽しんだり、健康診断を受けたりする人もいるのだそう。かつて“爆買い”ばかりが注目されましたが、中国から訪れる人たちはリピーターが増え、その旅行内容の変化、進化は想像以上に速いようです。

訪日客側も、急激に増えたお客に対応しきれず疲れてしまっている日本人の様子に気がついているようですが、今が過渡期なのかもしれません。基本的にサービスには高い質を求め、こだわりがある日本人。それが日本を訪れる人たちにとって、またサービスをする人にとっても適正化されるのは、必然のように感じます。

しかし何よりも、冒頭の話でもあったように、異国を訪れたときの人の優しさや親切は、その国の印象となり、形はなくても一番心に残る思い出となるもの。無理なく、自分も日本を訪れた人の思い出作りに参加するつもりで、何か尋ねられたら笑顔で答えたいものですね!

浅香来AsakaLai
ライター、編集者。JR新宿駅で、大きなスーツケースを持った3人組の中国の方に、丸の内線の場所を聞かれて、一緒に行ったことがあります。言葉でうまく説明できなかったので連れて行ったほうが速いなと思っただけですが、ちょっとした交流になって楽しかったです。

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