【日清食品】カップヌードルの世界秘話!アメリカは麺が短く、そしてインドは…

【日清食品】カップヌードルの世界秘話!アメリカは麺が短く、そしてインドは…

Update: 2017/06/19

世界初のカップ麺として、日清食品が1971年に発売した「カップヌードル」。1973年にアメリカで発売されたのを皮切りに、ブラジルやシンガポール、香港、インド、オランダ、ドイツ、タイへと展開され、世界累計販売食数は「400億食」を超えている。カップヌードルは、日本が世界に誇る発明品といっても過言ではないだろう。

今回は、世界で販売されるカップヌードルの種類や、知られざる商品開発のエピソード、各国での変わった食され方などを、日清食品ホールディングス株式会社広報部の松尾知直(まつお・ともなお)さんにうかがい、カップヌードルが世界で愛される理由に迫った。

世界で販売されるさまざまな味の種類

——よろしくお願いします。世界で愛されるカップヌードルですが、そもそも、海外ではどんな味が販売されているんですか? 

「日本で発売されているカップヌードルだと、ペッパーを利かせたコクのあるしょうゆスープのレギュラーを筆頭に、シーフード、カレー、チリトマトなどが代表的ですが、世界には様々な味のバリエーションが存在しており、ビーフやシュリンプ、ワサビやとんこつなど、全部で100種類以上ものカップヌードルを販売しています」

松尾さんから提供いただいた情報を元に、各国の販売状況一覧を作成したのでご覧いただきたい。

例えば、フランスでは「照り焼きチキン」や「すき焼き」、「浜焼きエビ」など、日本の食文化にインスパイアされた味が販売されているのに対し、フィリピンでは「ソータンホン」、「バッチョイ」、「ブラロ」のように、自国の文化を反映させた味が存在する。

また、海外では「ビーフ」や「チキン」、「シュリンプ」、「キノコ」などがスタンダードとなっている一方、カップヌードル発祥の地である日本の「カレー」や「チリトマト」などの人気メニューが、国外ではあまりラインナップされていないのも興味深い。

「カップヌードル チリクラブ味」を食べてみた!

「カップヌードル チリクラブ味」を食べてみた!

基本的に世界のカップヌードルは現地でしか手に入れることができない。しかし、今回は運良くシンガポールで販売されている「カップヌードル チリクラブ味」を入手することができた。せっかくなので試食してみたいと思う。

さっそくだが、とあることに気がついた。そう、日本のカップヌードルの本体底に付いている“フタを閉じるシール”が付いていないのだ。シールが無くても困ることはないが、あった方が便利なのは確かだ。もしかすると、日本のカップヌードルならではの気配り、工夫なのかもしれない。

中にはチリペーストが封入されており、こちらを入れてからお湯を注ぐようだ。顔を近づけると、日本のシーフードヌードルのような香りを感じる。ペースト以外の“かやく”として、ドライ加工されたネギや卵、カニかまが入っている。

チリペーストを投入してお湯を注ぐと、部屋中にスパイシーな香りが広がる。日本のカップヌードル同様、このまま3分待てば完成だ。

ペーストが溶けきっていなかったので、箸でよく混ぜてからいただく。思い切って麺を啜(すす)ると、想像以上の辛さ驚き、むせ込んでしまった。日本人が考える“辛さの度合い”でいえば、おそらく「激辛」に分類されるだろう。しかし、とてもおいしいのだ。

とろみのあるスープは日本のシーフードヌードルをベースとしているように感じる。強烈な辛味が舌を襲った後、食べ慣れたシーフードヌードルの優しい味わいを感じ、最後にカニの風味がふわっと香る印象だ。

そして、スープのとろみが麺に良く絡み、この強烈な辛さをより一層引き立てている。現地の食文化や趣向に合わせて商品開発をしているのは言うまでもないが、日本人の舌にもバッチリ合うことに驚く。

松尾さん厳選!海外の個性的なカップヌードル6選

——全世界で販売されているカップヌードルの中で、特に個性的だと思う商品を教えてください。

「メキシコの『スパイシーシュリンプ(Con Camaron Picante)』は2000年頃に発売した商品で、エビの旨みと唐辛子の辛さに、パクチーのフレッシュな香りをアクセントに加えた個性的な味わいが特徴です。メキシコの商品ラインナップには様々なレベルのPicante (辛い)フレーバーがありますが、こちらは丁度真ん中ほどの辛さ。メキシコ人が好きなエビの味わいを失わせるほどの辛さでないため、そのバランスの良さが人気の秘密です」

「続いてドイツのワサビ(Wasabi)は、和風スープをベースに、ワサビの刺激的な辛さと椎茸の旨みを加えた、ツンとくる辛さが刺激的なカップヌードルです。発売時期は2015年。ヨーロッパの日本食ブームを背景として、日本的でユニークなフレーバーを発売しようと開発した商品となります」

「同じくドイツからもう一品、2010年頃に発売された『Champignons(シャンピニオン)』です。こちらはマッシュルームの香りと旨みが詰まった贅沢な洋風スープが特徴のカップヌードル。ヨーロッパでは王道のフレーバーで、現地のお客様から『非常に美味しい』、『クリーミーなスープだけど、しつこすぎなくて良い』といった声をいただいております。マッシュルームの濃厚な旨みをオニオンの甘さでバランスを整えた、食べやすさがウリの人気商品です」

「1994年に発売された香港の『スパイシーシーフード(香辣海鮮味)』は、海鮮と豚肉の旨みにキムチの風味を加え、コク・酸味・辛さが絶妙に合わさった辛口のシーフード味です。現地の方々が大好きな海鮮スープをベースにしており、『スパイシーさのレベルが絶妙』といった声がありました。日本のシーフードヌードルとは一味違った、旨辛な味わいを楽しむことができます」

「2014年に発売されたインドの『マサラ(Mazedaar Masala)』は、インド料理に使われる定番のミックススパイス「マサラ」を使用したカップヌードルです。現在、インドのカップ麺市場ではNo.1の売れ筋商品。麺とスープのなじみの良さや、スープの味わいがよりリッチであることから、高く評価していただいているようです」

「最後に紹介するのは2002年に発売されたブラジルの『ガリーニャカイピーラ(Galinha Caipira)』です。ブラジルの代表的家庭料理「雌の地鶏(ガリーニャカイピーラ)」の煮込み料理を再現し、鶏肉とニンニク・セロリ・トマト等の野菜を合わせたスープをベースに、数種類のスパイスを加えています。現在、ブラジルのカップ麺市場で一番売れている商品なのですが、2016年にリニューアルを行い、『鶏の味が良い』、『自然な味である』といった評価をいただいています」

ここでは6種類のカップヌードルをご紹介いただいた。どれも各国の食文化を取り入れて開発しているのが特徴だ。海外旅行の機会があれば、現地で買って食べてみてはいかがだろうか。

各国の食文化に合わせた商品開発

各国の食文化に合わせた商品開発

——商品開発の段階で国によって考慮したことはありますか?

「最終的に商品として完成させるためには、現地に住む消費者の方々を招き、商品評価テストを実施したうえで、そのフィードバックを反映させる必要があります。その結果、例えば欧米は麺を啜る(すする)習慣がないので、麺の長さを日本のカップヌードルよりも短くしたり、気温が高いインドでは熱々のものが好まれないため、殆どスープのないカップ焼きそばのようなスタイルに変えています。他にも、タイでは食べごたえを重視するため長い麺を採用したり、インドネシアではイスラム教徒の方が多いため、豚由来の原料を使いません。各国の食文化を考慮したうえで、商品開発を行っています」

各国で浸透している変わったカップヌードルの食べ方

「メキシコでは、大量のライムを絞り、ホットソースをドバドバと入れて食べるそうです。他にも、具体的な国名こそわかりませんが、カップヌードルを一度鍋にあけて調理し、再度カップに戻して食べることもあると聞いています。熱湯調理後、一度冷蔵庫に入れて冷やすなど、さまざまな楽しみ方をされているようです」

——「お湯を入れてフタして3分」が当たり前の日本人からするとどれも意外すぎます!今度、試してみたいです。

松尾さんのリアルな秘話から、商品開発の苦労と、カップヌードルが世界で愛されている理由が分かった。

そもそもカップヌードルは、日本と外国の食習慣の違いから着想を得て開発がスタートした。当時、日清食品の創業者である安藤百福氏は、袋入りの「チキンラーメン」をロサンゼルスのとあるスーパーヘ売り込みに行った。バイヤーに試食を頼んだところ、どんぶりや箸がなかったため、彼らは「どうやってこの麺を食べればよいのか?」と考えた結果、麺を小さく割って紙コップに入れ、そこにお湯を注ぎ、フォークで食べはじめたという。

この光景こそが、「容器入りインスタントラーメン」を開発するうえで重要なヒントとなり、カップヌードルが生まれた。柔軟な思考で他者に配慮する日本人のスピリットが反映されている食品。それがカップヌードルといえるだろう。

最後に余談だが、今回話をうかがった松尾さんがオススメする世界のカップヌードルは、ドイツの「Champignons(シャンピニオン)」とのこと。こちらは2017年5月22日より「世界のカップヌードルサミット2017」として、日本国内でも期間限定で販売されている(国内で製造するため一部仕様が異なる)

他にも香港やインドネシアのカップヌードルがリリースされているので、興味のある方は日清食品の公式サイトを覗いてみて欲しい。

カップヌードルの歴史に触れたいなら……

Written by:

下條信吾

東京立川市在住のフリーライター兼カメラマン。 ミュージシャンや作詞家としても活動中

※記事掲載時の情報です。

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